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「W杯放浪2」第16回 ファイナルの光と闇──ブラジルの栄光

16 ファイナルの光と闇──ブラジルの栄光

 その男はコロンビアから来たと言った。英語はほとんど話さない。
 まだ横浜まで行くことができるだろうかとスペイン語でたずねた。
「もう横浜に行く列車はない」と、ぼくは首を振った。
 埼玉での準決勝第2戦「ブラジル─トルコ」戦の第一報を送り終えて、100人近い記者団がプレス・バスの到着を待っていた。東京行きの最終列車に乗るには、0時30分発のバスに乗るしかないのだが、いつまで待っても、そのバスはやって来なかった。
 降りしきる雨のなか、外国人プレスの怒りがとうとう破裂した。
「エキストラ・バスを本当に手配したのか? この列車に乗ることができなかったら、どうやって東京に戻ればいいんだ。JAWOCは東京までわれわれをタクシーで送ってくれるのか」
「いまバスが来ますから」とボランティアたちが半泣きになりながら説明しても、だれも納得しない。
 同じようなトラブルがほかの会場でも続出していたのだ。
 ゲームを取材したい記者やカメラマンは、FIFAに事前に取材申請を提出しなければならない。当日、500人のプレスが現れるのか、1500人のプレスがやって来るのかは、FIFAに確認すればわかることだ。その程度の確認さえJAWOCはやっていなかった。だから、どの会場でもプレス・バスの絶対数が不足した。
 担当責任者が現れた。
「『満員の場合は乗ることができない場合もあります』と説明を出してあったはずですが……」
 実に官僚的な言い訳である。しかし、それで問題が解決するかい。
 われわれは発車時刻に合わせて、30分前から行列して待っていた。そして、乗るべきバスは現れない。
「日本の高いタクシー代をまかなえない国からのプレスのことを君たちは考えたことがあるのか。バスは時間通りに来ないし、もしバスが来たとしても、終電に間に合わなければ、東京には戻れない。彼らを東京まで送り出すのが君たちの仕事だろう」
 やっとバスが戻ってきた。運転手に尋ねると、終電に間に合うかどうかギリギリだという返事。もし間に合わなければ、大宮駅に着いてからまたひと騒動になる。
「あなたも乗りなさい」と、ぼくは担当者をバスに同乗させた。
「もし時間内にバスが大宮駅に到着しなかったら、このバスを東京駅に向かわせなさい」
 バスのなかで臨時の交渉がはじまった。
 45人の同乗者が成り行きを見守っている。バスは規定の運行ルートを変えて大宮駅に直行した。
 担当者も責任を果たすということがどういうことか、バスに乗ってやっと理解した。運営本部やバス会社に携帯電話で事情を説明する。電話の向こうにいる本部の上司が納得したのかどうかはわからないが、もし乗り遅れた場合は、このバスを東京まで走らせるということで合意が成立した。
「ブラボー!」
 乗客全員が拍手喝采。
 幸い、バスは終電の発車時刻ギリギリに大宮駅に到着した。待ちかまえていたボランティアが先に買っておいてくれた入場券を手に、全員がホームに走る。
 列車に乗り込んでから、ひとりひとりと交通相談。イギリス、中国、インド、タイ、ブラジル、トルコ、メキシコ、コロンビア、……。
「恵比寿のホテルに行きたい」
「なら、品川で下りて、そこからタクシーだ」
 まるでツアーの添乗員である。

 コロンビアのヘンドリックスは、今夜中にホテルに戻らないといけないんだと、また横浜のホテルのカードを見せた。横浜の先の町まで帰るぼくも、東京駅で下りてタクシーを拾うしかなかった。
「仕方がない。ぼくと一緒に来な」
 コロンビアの迷い子を乗せたタクシーは横浜の町でまた道に迷った。運転手がホテルに電話を入れる。
「うちは2時でお終いなんです。コロンビア人? そんな人は泊っていませんよ。うちの客じゃないんじゃないですか。こんな時間に連れてこられても困ります。だから場所はお教えできません」
 電話のやり取りが聞こえた。
 勘弁してくれよ。時刻はもう3時半近い。おまけに土砂降りの雨だ。
 運転手の携帯を取り上げて、ホテルのマネージャーと口論になった。
「おたくのホテルカードを持っているよ。そちらに泊っていると本人は言っている」
「あなたが勝手に連れてきたんでしょ。そういう客に来られても困るんですよ。こちらとしても」
「この雨のなか、外国からの客を放り出すことができるかい。もし、おたくのホテルがだめだというなら、どこか近くのホテルでもいい。紹介してくれ」
「こんな時間に紹介できるところなんかありませんよ」
「ファイナルをやりたいといったのは横浜市だろう。横浜のホテルが外国人客を閉め出すなんて、あんまりだと思わないのかい」
 20分近い口論の揚げ句、そのマネージャー氏は、渋々、ヘンドリックスを連れてくることに同意した。
 ホテルのそばまでたどり着いて、ヘンドリックスは道を思い出した。
「この道だ。そこをまっすぐ。次を左」
 やはり彼はそのホテルに泊っていたのだ。降りしきる雨のなか、カリアリからやって来たサッカー記者は明かりが消えたホテルに駆け込んでいった。

 ぼくは日本人にホスピタリティーがないとは思っていない。
 日本人は親切だったと、多くのプレスや各国サポーターから感謝の言葉を聞いてきたし、ぼく自身、大会運営に参加した多くの善意のボランティアの努力に支えられて、取材ができたと感謝している。
 しかし、それが組織となるとどうだろうか。JAWOCや各開催地の組織委員会がホスピタリティーを実践できたかどうか。
 韓国でも同様のトラブルは発生した。しかし、彼らは、2度目のゲーム、3度目のゲームでは、前の試合で起きたトラブルを解決する方法を考えて対策を立てた。そういう臨機応変さというものが日本の組織にはない。日本の官僚システムは、机上の空論だけで物事を運ぼうとする。あるいは「杓子定規」であることが物事を円滑に運ぶ方法だと考える。
 一度立てた計画を変更するには、上司の許可を得なければならない。「そこまでする必要はないんじゃないかね?」と、否定的な意見をだれかひとりが吐けば、間に合ったはずの解決策も宙に浮いてしまう。
 札幌で行われたあるゲームで、赤ん坊を連れた外国人カップルが入場を断られた。彼らがチケットを注文したとき、その赤ちゃんはまだ生まれていなかったのである。赤ん坊名義のチケットがないからという理由で、JAWOCは3人が入場することを拒んだ。約款にそういう客の入場は認めないと書いてあるというのが組織の言い分である。
 それを通告しなければならなかった現場の担当者は、
「あのときほど悲しい気分になったことはなかったです」
 と後味の悪さを嘆いた。
 組織は安全で円滑な運営のためには、いかなるきれい事も認められないという。事故でもあったら、だれが責任を取るのかと、組織としての責任論を口にする。
 しかし、それは建前でしかない。
 埼玉から帰ったその朝、ぼくは開幕以来1カ月近く、悩ませつづけてきたJAWOC幹部の「チケットお手盛り」疑惑について、ネット・メディア向けに怒りの原稿を書いた。
 その記事は、大会がはじまったばかりの6月2日の夜、光州にかかってきた告発の電話が発端だった。
 JAWOCのチケッティング部門の責任者である某局長が、「君のチケットを出しておいたから、取りに来るように」という電話を縁故者にかけ続けているという内部告発だった。できれば、そんなことが起きていないことを信じたかった。しかし、日本に戻り、連絡してきた当事者から直接、事情を聞き、また関係者のウラ取りもして、その局長が電話をかけていた日時、場所も特定された。最終的に、本人にも確認を取り(局長本人は曖昧な言い訳のあと、否定したが)、内部告発の信憑性を覆すことはできず、「JAWOC及び文部科学省に調査と責任者の処分を要求する」という記事を書いた。
 その記事はネット上に即日掲載されたが、JAWOCは広告代理店経由でそのネット・メディアに記事を削除するよう、圧力をかけてきた。

 6月30日。ファイナル。横浜。曇り。
 試合開始は8時だというのに、新横浜は昼前からたいへんな人出だ。
 ネットの担当編集者のM君から、親会社の代理店からの強硬な抗議で、記事を落とさざるをえなかったという連絡。
 日本ではまだメディアとして確立していないネットの世界では致し方ないか。ファイナルの日だというのに、心が痛い。掲載された署名記事を取り消されるなんて、20数年で初めての経験である。
 JAWOCのトップは、不祥事を隠蔽して組織防衛に走った。しかし、記録はすべて取ってある。件の代理店の担当部局からも、なんとかモミ消してくれという悲鳴の電話がはいってきてますよと連絡が入った。記事をツブせば、不祥事は存在しなかったことになると、官僚たちは相変わらず勘違いしている。いまはもうそんな時代ではない。彼らがそのことに気がつかない以上、いずれ、すべてを明るみに出すしかないだろう。
 スタジアム近くのイタリアン・レストランで、JAWOC関係者を通じて、2日前にファイナルのチケットを手に入れたという2人連れに会った。「FIFA OCS」という名義の不思議なチケットを持っている。「カテ1」1枚、8万7500円支払ったとか。
 2人は、JAWOCの関係者に3年前からチケットを頼んでいたのだと自慢そうに話した。
 ファンを無視したJAWOCのチケットのお手盛り、横流しは、結局、最後まで続いていたと見える。

 ファイナルの舞台、横浜国際はフェンスと金網で二重三重に遮られていた。
 夢のチケットを手に入れることができなかったブラジル・サポや、ひょっとしたらここに来れば、世界に触れることができるかもしれないと夢見た、世界中からやって来た若者たちが金網の向こう側をギッシリ取り巻いている。
 勝手知ったるスタジアムの抜け道も階段も、すべて出入り禁止。プレスルームから歩いて5分で行けるはずの正面ゲートに、30分かけてやっとたどりついた。プレス・パスやプレス用チケットを提示しても、セキュリティ担当者は「ここは入場できません」の一点張りである。
 ぼくは一般観戦席に入ろうとしているのではない。観戦席のゲートの手前の広場でやっているイベントを見ておきたいから、入れてほしいと話しているだけなのだが。押し問答の末、やっと入れてもらう。
 98年フランスのサンドニのファイナルは、少なくとも閉鎖された祭りではなかった。
 サンドニのスタジアムの周りをトコトコ歩いていたら、後ろからシラク大統領の車がやって来て、あわてて歩道によけた記憶がある。パリ中の警官が動員されたのではないかと思うくらい、警備の警官は多かったが、ファンはスタジアムまで自由に行くことができたし、スタジアムのそばで歓声を聞くことができた。
 今日は、天皇皇后両陛下や韓国の金大中大統領をはじめ、ブラジルやドイツからも国家元首がいらっしゃる。警備が厳重になるのは仕方ないとしても、これでは、W杯のファイナルという最大の祝祭のエネルギーはスタジアムの外に解放されていかないだろう。
 プレスルームに誇らしげに張り出されていた「本日の警備体制」のニュース・リリース。日本語の張り紙なので、外国人プレスはだれも見向きもしない。
「スタジアムの警備員1700人、ボランティア1000人、ボランティア・スタッフ1450人。横浜市内の警備、神奈川県警7400人、横浜市自主警備460人、誘導ボランティア460人」
 セキュリティ面では2002年大会は完璧だった、成功だったと書いておこう。しかし、W杯の夢やサッカーへの愛や敬意は限りなく薄かったと続けておく。

 ゲームは、ブラジルが「2─0」でドイツを破り、5度目の王座(ペンタ・カンピオーネ)に返り咲いた。ブラジルびいきのぼくにはたまらないゲームである。ロナウドのTシャツを来てこなかったのが悔やまれた。
 右ボランチのクレベルソンからリバウドに送られたクロスを、ゴール前でリバウドがスルー。その背後からロナウドが強烈なシュートというブラジルの2点目のゴール。これがセレッソンのサッカーである。
 戦術がどうの、フォーメーションがどうのなどという御託は必要ない。きらめく個の才能の勝利だった。
 ゴールポストでうなだれるカーンを、ブラジルのキャプテン、カフーがなぐさめている。
 いいゲームだった。どちらも今回は優勝など狙えるチームではなかったのだ。
 半年前、釜山で行われたファイナル・ドローの際に、両監督にインタビューした。
 ブラジルのルイ・フェリペは、
「いま、ここ(釜山)に来ることができたことが最大の喜びだ」
 と語り、ドイツのルディー・フェラーは、
「グループリーグを勝ち上がって、韓国に渡ってゲームをすることが最大の希望である」
 と、控えめなコメントしか述べることができなかった。両チームにとって、大陸予選突破までの戦いはそれほど熾烈だったのである。そんな両チームがファイナルに駒を進めるなど、ぼくは予想もしていなかった。

 選手や監督の登場を待ち受けるミックスゾーンの入り口から、突然、サンバのリズムが聞こえてきた。
 肩から吊した太鼓を叩くロナウジーニョを先頭に、今大会初出場組の若手選手たちがサンバを歌いながら、通路を風のように踊り去っていく。世界中のプレスがマイクを持って追いかけるのだが、だれも答えない。勝利の歌を歌いながらそのまま消えていった。これには、ブラジルのプレスも苦笑い。
「ペンタ・カンピオーネ!」という歓喜の叫び声があとに残された。
 おめでとうブラジル。
 そして、素晴らしいゲームを堪能させてくれたすべてのチームと、大会を支えた日韓のボランティアや関係者に、ありがとうと言おう。
「また、いつかどこかのスタジアムで。サヨナラ2002」。    (2002年7月3日執筆「週刊朝日」2002年7月19日号掲載)


 ファイナル「ドイツ─ブラジル」戦について、ゲーム経過を追加しておこう。
 まず両軍先発メンバー。
 ドイツは、FWはクローゼ、ノイヴィルの2トップ。トップ下にシュナイダー。MFはボーデ、イェレミース、ハマン、フリングス、Dはメッツェルダー、リンケ、ラメロウ、GKはカーンの「3─4─1─2」。ルディー・フェラー監督は、バラックの欠場でイェレーミースを使ってきた。
 ブラジルはロナウジーニョが戻り、イングランド戦と同じ陣容。1トップにロナウド、第2列にロナウジーニョとリバウド、MFがロベルト・カルロス、ジウベルト・シルバ、クレベルソン、カフー、Dがホッキ・ジュニオール、エジミウソン、ルシオ、GKがマルコス──というフィリペ監督の今大会のベスト・チョイスの「3─4─2─1」のフォーメーション。
 主審はイタリアのピエル・ルイジ・コリーナ。コリーナさんが笛を吹くゲームを観るのは今回、これで3試合目になった。
 ブラジルのキックオフと同時に、BKのホッキ・ジュニオールがドイツ・ゴール前までダッシュ。
 前半1分、ロナウジーニョが左サイドをドリブルで突破。コーナーキック。
 3分、クレベルソンがドリブルでイェレミースを振り切って右からクロス。イェレミースがクレベルソン、カフーをマークできるかが今日のゲームのポイントにもなるだろう。
 6分、ホッキ・ジュニオールにイエロー。ホッキ・ジュニオール、気合いの入りすぎ。
 6分、ドイツ、右45度からFK。狙わず、横に流してオプションからミドルシュート。
 8分、クローゼにイエロー。
 10分、ドイツ、右サイドでシュナイダー→ノイヴィル→シュナイダーと渡るワンツーからクロス。飛び込んだクローゼには合わず、コーナーキックに。クローゼのヘッドをいかしたドイツらしい攻撃。
 15分前後まで、ドイツの時間帯。FK、コーナーキックのチャンスが続くが、ブラジル・ディフェンス、クリア。ドイツの攻撃は右サイドのシュナイダー、フリングスが基点になる。クロスまではいくが、詰めがクローゼにあと1枚足らず。バラック不在がやはり痛い。
 19分、ブラジル、ロナウジーニョが中央からドリブル突破。後ろから回り込んでペナルティ・エリアに走り込んだロナウドへスルー。ロナウド、左足のアウトでゴール左隅を狙うが、わずかにアウト。ブラジルの決定的なチャンス。カーン、早い飛び出しでロナウドのシュートコースを消したファインプレー。
 21分、ルシオが最後尾からドリブルで攻め上がり、ロナウドにスルーも、インターセプト。ロベカル、大声でチーム全体に気合いを入れる。
 25分、ボーデが左サイドを突破してクロス。コーナーキックに。ドイツ、コーナーキックのチャンスにもバックス陣は参加しない安全運転。
 30分、ブラジル、ロナウジーニョとロナウドのコンビでまたまた決定的なチャンス。ロナウジーニョからドイツ・ディフェンダーの肩越しにゴール前に走り込んだロナウドへ浮き球のスルー。ロナウド、右足のつま先でシュートも、カーン、左手でからくもセーブ。
 30分以後、ブラジルの攻撃が圧倒しはじめた。ドイツのディフェンス陣、ロナウジーニョ、ロナウドに激しいタックルを見せるがノーファウルの判定。ブラジルはロナウジーニョを経由した多彩な攻撃を見せるが、リバウドがうまく機能しない。ドイツはコーナーキックのチャンスを拾うが、ブラジル・ディフェンス、危なげなく処理。
 40分過ぎ、ドイツのカーンへのバックパスのたびに、ブラジル・サポからブーイング。
 41分、左サイドからイェレミースが強烈なミドルシュートも、ゴール右に外れ。ドイツ久しぶりのシュートらしいシュート。ブラジルもクレベルソンがドリブルで中央にカットインしてミドルシュートも外れる。
 45分、ブラジル、ロナウジーニョ→クレベルソン→ロナウド→ロナウジーニョ→クレベルソンと、中央で細かいパス回しのあと、クレベルソンがミドルシュート。しかし、ゴールバーを叩き、またもや先制点はおあずけ。ブラジル・サポからため息。セレッソンらしい攻撃。
 前半ロスタイム、ブラジル左サイドロベカルからゴール前のロナウドへ。シュートだたのか、クロスだったのか。ロナウド、ワントラップから左にターンして、左足で強烈なインステップ・シュート。しかし、カーンの正面を衝く。前半「0─0」のまま終了。
 ハーフタイムの世界のプレスの話題は、セレソンの前に立ちはだかるカーンという巨大な壁について。
 後半開始。本日の入場者数6万9029人。
 後半開始早々は、ドイツの時間帯。後半2分、ドイツ左コーナーキック。イェレミースのダイビング・ヘッドはブラジル・ディフェンダーに当たる。
 後半4分、ドイツ、ペナルティーエリア手前正面よりやや右よりからの30メートルのフリーキックのチャンス。ノイヴィルが直接ゴールを狙ったシュートは、ブラジルの3枚の壁を越え、ゴール右ポストを直撃。ノイヴィル、頭をカリカリかいてくやしがる。
 7分、ブラジル、ロナウジーニョの左コーナーキックからショートコーナー。ロベカルが放り込んだクロスを、ファーサイドのジウベウト・シルバがヘッディング・シュート。カーン、足でブロック。もう一度つめたシルバのシュートもからくもクリア。決定的なチャンスもなかなかゴールを割ることができない。シルバとのこの接触でカーンが腕を負傷していたとゲーム後、判明するのだが。
 10分、ドイツ、右サイドからクローゼがポスト。右サイドをオーバーラップしたフリングスに渡り、フリングスのミドルシュートもゴールオーバー。
 12分、ブラジルボールのインターセプトからボーデが左サイドをドリブル突破してハマンに返し、ハマンがミドルシュート。これもゴールオーバー。
 14分、ブラジル、エジミウソンが攻撃参加。右サイドまでドリブルで持ち上がり、中央のリバウドへ。しかし、ドイツのハンドでFKに。ゴール正面20メートルからのロナウドのFKは壁に当たる。
 17分、カフーが右サイドからゴール前にクロス。だれも触れず。
 17分、エジミウソンのユニフォームが破れて着替え。激しい競り合いの証拠。エジミウソン、興奮しているためか、なかなか腕が袖に通らない。
 18分、ドイツ、中央クローゼから右サイドのフリングス→シュナイダーと渡り、ゴール前のノイヴィルへスルー。しかし、ノイヴィル、タイミングがわずかに合わずシュートは空振り。ドイツが見せた珍しい遅攻。
 19分、カフーとイェレミースが接触。イェレミース、治療のためピッチ外へ。
 ゴールがなかなか遠い。「後半20分過ぎで「0─0」は、フェラーには予定通り、フェリペにはヒヤヒヤか?」とメモ。
 22分、ジウベウト・シルバから左サイドのロナウドへのパスはハマンにインターセプトされる。しかし、ロナウド、また取り返してゴール正面ペナルティエリアの外にいたリバウドへ。リバウドがこれをグラウンダーのミドルシュート。なんなくさばくかに見えたが、カーンがこれを前にはじいてしまった。このこぼれ球をリバウドの後ろからゴール前につめたロナウドが右足インサイドでゴールを決めた。カーンのはじめてのキャッチミス。それにしても、リバウドへのパスのあと、そのままゴール前まで走り込んだロナウドの動きをほめるべきだろう。
 遠かったゴールをやっとロナウドがこじ開けた。ゴール裏のブラジル・サポ、総立ちで「ブラ・ズィル! ブラ・ズィル!」のコール。
 26分、ドイツ左サイドのスローインからイェレミースがドリブルで突進してそのままミドルシュート。ディフェンダーに当たりアウト。
 27分、最終列のルシオが攻撃参加。ゴールライン際でクロスを入れるがドイツのディフェンダー、カットしてカウンター。しかし、ジウベウト・シルバがインターセプト。シルバ、今日も再三の好ディフェンス。それにしても、「1─0」リードの展開でバックスが相手ゴール前まで突っ込んでいくかなあ? まあ、それがブラジルなのかもしれないが。
 29分、ドイツ、クローゼに代えてビェルホフ投入。
 30分、ドイツ、右コーナーキックから再度、組み立て直し、左からのクロスをノイヴィルが頭で落とし、フリングスがシュート。ブラジル・バックスがクリア。
 33分、ドイツ、イェレミースに代えてアサモア投入。
 34分、ブラジル、クレベルソンが右サイドへドリブルで開き、中央のリバウドへグラウンダーのアーリー・クロス。しかし、リバウドはこれをスルー。思いがけないリバウドのスルーで、後ろにいたロナウドが完全にノーマークとなり、ロナウドが右足でゴール右隅へゴール。「2─0」。
 ロナウド、今大会8点目。「大五郎カット」だかなんだか知らないが、ロナウドの三角ヘアも許す気持ちに。それにしても、クレベルソンのあのパスをスルーしたリバウドがすごい。
 この2点目でほぼゲームは決したが、ドイツも攻撃をあきらめなかった。37分には、左コーナーからのこぼれ球にリンケが反応。強烈なシュートを放ったが、ルシオがヘッドでクリア。38分には右サイドからのロングボールをビェルホフが強烈なシュート。マルコスが左に飛んで、片手でファインセーブ。
 39分、ドイツ、ボーデに代えてツィーゲを投入。
 40分、ブラジル、ロナウジーニョに代えてジュニーニョ・パウリスタを投入。大好きなジュニーニョの登場。雨でやや濡れて光るピッチ上をジュニーニョがスキップするようにドリブル。それだけでぼくはウキウキしている。
 45分、ブラジル、ロナウドに代えてデニウソン投入。
 ロスタイムは3分。ドイツ、ツィーゲが左サイドに上がりっ放し。左45度からシュートを放ったが、マルコスの正面。
 ブラジルの選手たち、ベンチを立ち上がって勝利の瞬間を待っている。コーチがロナウドの首にマントのようにブラジルの国旗を結びつけている。
 コリーナ主審が手を上げた。ゲーム終了。「2─0」。ブラジル、5度目の王座。
 ブラジルの選手たちが踊るように跳ね飛びながら、ピッチに駆け出した。
 カーンがゴールポストにもたれて呆然と座り込んだ。ファースト・ゴールのミスキャッチを悔やんでいる。
 ナイス・ゲーム。ファイナルにふさわしい見応えのあるゲームだった。
 表彰式が始まった。カップを載せるはずだった台のうえにブラジルのキャプテンのカフーが飛び乗った。ペレがティシエラが、選手たちをひとりひとり抱きしめて祝福する。
 セレソンが王座に返り咲いた。ブラジルにとって最高の夜。
 10数万羽の金銀の千羽鶴がライトにきらめくなか、カフーが台の上でカップを高く高く掲げて、「ペンタ・カンピオーネ!」の喜びを発散させた。

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