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デトロイト 野球W杯WBC発表会見レポート

WBC発表


石川とら(保昌)です。

さて、春から初夏のスポバカ・ツアー、やっと一段落ということになります。
日本から出かけては帰りの断続スケジュールが続いたので、少しだけ疲れております。
たまった仕事が山のようになっているので、8月、9月は日本にいたいなあ。
10月以後は、要請があれば、ヨーロッパでもアメリカでも、どこでも出かけます。
デトロイトからの最終レポート、お送りしておきますね。

デトロイトもちょっと暑かった。昨年のヒューストンのような気温42度なんてことはないけど、川を挟んでカナダという土地だから、少しは涼しいかなと期待していたのですが、33度くらいになりました。

去年、タイガースとヤンキースの連戦を追いかけて来たときは、ダウンタウンのラマダインというホテルに泊まったのだけど、球場まで歩いて10分という場所にあるのに、すぐそばに職業安定所があって、失業保険の給付に集まる失業者がズラ~っとホテルのすぐそばまで行列を作っていた。ホテルのスタッフも、「ゲームが終わったら、必ずタクシーで帰ってくるように」と念を押すような場所で、夜中にピストル強盗事件が起きちゃって、デトロイトの治安悪化をあらためて感じたものでした。

ラマダインというのは、その昔(70年代)は、モータウンのベリー・ゴーティーJr.が根城にしていた、R&Bファンにはちょっとだけ懐かしいホテルで、モータウン初期(マイケル・ジャクソン以前、シュプリームス時代のダイアナ・ロスやテンプテーションズやフォートップスなんかの時代)の名残が残っていて、ぼくは嫌いではな
かったのだけど、高層フロアは窓ガラスが割れたままで廊下をビル風が吹き抜けていくような幽霊ホテルでありました。

さすがに、オールスター・ウィークは「ミッドナイト・サマー・クラシック」と呼ばれる全米の野球ファンが集まるイベントなので、市民ボランティアが総出で、目抜き通りには警官が絶えずパトロールしているし、無人の幽霊ビル群のあたりも再開発が進められていて、治安状態も去年よりはずっとましになっていました。

もし、デトロイトにMLBを見にいくという方には、デトロイト川に近いホテルをすすめます。
デトロイト川の川沿い(対岸はカナダのウィンザーです)は眺めもいいし、川をはさんだウィンザーのカジノからモータウン・ナンバーが聞こえてきたりします。

さて、前回の続き。野球のW杯「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」について。

オールスターの前日、WBCについての記者会見が行われました。
「World Cup」という名前を使いたくないというのも、MLBの方針ですね。Baseball World Cupのほうがわかりやすいと思うのですが。MLBにとっては、最大のイベントはWorld Seriesだという基本戦略があります。World Cup だと、言葉のイメージとして、World Seriesよりも格が上のイベントになってしまうことを恐れたのかな。
Classicというのは、「大一番」というような意味の言葉です。IBAF(国際野球連盟International BAseball Federation)が主催するイベントで、アマチュアレベルの野球W杯がすでにあるので、それとは別のイベントであるよということにしないといけなかったという事情もあります。
サッカーのW杯は、FIFA World Cupでありまして、主催は国際サッカー連盟。WBCのほうの主催者は、MLBとMLBPA(MLB選手会)です。

サッカーの世界では、FIFAは”World football’s governing body世界のサッカー界の統治機構”という呼ばれ方をしていますが、FIFAの下に各大陸サッカー連盟(UEFAとかAFCとか)があり、その下に各国サッカー協会が加盟しており、各国サッカー協会に、日本だとプロ連盟であるJリーグ(日本プロサッカーリーグ)やアマチュア連盟のJFLや大学連盟やユースサッカー連盟が加盟しているという構造になっています。

野球のほうでは、FIFAに当たる国際連盟はIBAFということになりますが、こちらはアマチュア野球の国際連盟であり、日本の加盟団体は日本アマチュア野球連盟であって、日本プロ野球機構(NPB)は加盟団体ではない。アメリカでも、MLBはIBAFの加盟団体ではないのですね。
つまり、IBAFがW杯をやりたいから選手を出してくれとMLBやNPBに呼びかけること自体ができないわけです。

サッカーファンが今回の野球のW杯の構造を見るときに、言ってみれば、セリエAが、プロが集まった最高水準の国際大会をやろうぜと呼びかけた形に見えるかもしれませんが、MLB自体が国際野球連盟とは関係のない団体であることを忘れないようにしないと、事情がよく見えてこない。
それともうひとつ。MLBもNPBもスポーツ組織ではありますが、プロ野球興行を行う興行団体であるという認識が必要でしょう。

5月に、「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」について初めてMLBが言及したとき、NPB側は「どうしてMLBの勝手なビジネスに付き合わないといけないんだ」という不満をもらしましたが、そのとおり、MLBは新たな世界興行モデルとしてWBCを企画しているわけで、自分たちの興行予定があるNPB側から不満が出てきたのは当然のことだったと思います。どちらも自分たちの興行ビジネスのことを優先して考える組織なのですから。

でも、MLBとNPBや韓国や台湾のプロ球団やキューバの各国オールスター級メンバーが競い合うトーナメントを見ることができるのだとしたら、そういうゲームはぜひ見てみたい。それがファン心理というものでしょう。
少なくとも、これまで見ることができなかったゲームを見ることができるのだとしたら、だれが言い出しっぺであるかどうかは別問題であって、そういう新しい方向性のあるトーナメントは行われるべきだというのがぼくのスタンスです。

記者会見の冒頭、WBCへの参加を表明した各国野球連盟の代表たちが紹介されました。
来てなかったのは、日本プロ野球機構(NPB)とキューバだけ。IBAFのノタリ会長も列席していまして、完全に外堀を埋められた状態になっているのに、賛意表明をしないのはNPBとNPB選手会だけという状況です。
ではNPBが参加しないのかというと、NPBコミッショナー室のスタッフは事務打ち合せのために記者会場に何人か来ているし、12球団のすべてがオールスター視察でスタッフをデトロイトに送り込んでいるわけですから、NPBは参加する方向でいるわけです。

MLB側も、NPBはまだ選手会の最終意志統一が終わっていないので、選手会に敬意を表してデリゲートを送ってきていないが、NPBは参加する見通しであると説明しましたが、WBCの足を引っ張っているのはNPBとNPB選手会であるという感はぬぐえませんでした。
結局、参加する方向で処理せざるをえないという感触を持っているのであれば、NPBが選手会に対して適切な情報提供をすべきだったでしょう。

会見後、MLB側の責任者のひとり、上級副会長のポール・アーチェイに確認しました。
――NPBとはどこまで話がついているのか?
「すべて、NPBもWBCの開催を受け入れている」
――レギュレーション(大会規定)、コンディション(収益分配やさまざまな参加条件)についてもNPBが同意したということか?
「MLBはすべてについてオファーを出しており、それについてNPBからは否定の応えは返ってきていない」
――NPBはすべてを受け入れたと書いてもいいわけだね?
「そう書いてもらってもいい状態である」
とアーチェイは答えています。

また、記者会見で、
「NPB選手会から、WBCの開催時期について異議が出ているが、初回はともかく第2回からは開催時期などを再検討するつもりはあるか?」
と質問したところ、
「初めてのイベントなので、いろんな立場から異論が出るのはやむをえないのだが、それを受け入れることはできない。ただし、第2回からは第1回の経験を踏まえて、さまざまな角度から検討したい」
と、ポール・アーチェイとMLBPA理事のドン・フレールが応えました。

つまり、第1回大会については、日本の選手会が求めている開催時期の変更要求をMLB側は認める可能性はゼロだということです。

野球W杯構想というのは、セリグMLBコミッショナーが3年前から、ぜひ実現したいということを言いだし、彼が自分の任期中になんとしても第一回大会を実施すると、昨年3月のゴジラ松井の東京ドーム凱旋興行でも確約していました。
その後、MLBへのドーピング・テストをどういう条件で導入するかという問題で時間を費やしてきたものだから、セリグが希望していた2005年3月開催という目標は流れてしまいましたが、それがやっと正式発表にこぎつけたというのが今回の記者会見でした。

セリグ(現在71歳)の任期(2期目)は2005年7月までと思われていたのですが、彼以外の後任候補がいないため、セリグ自身が辞任表明をしない限り、彼がいましばらくコミッショナー職に留まることになりました。

彼自身、皮膚がんの疑いで、自分の健康状態に自信を失っていた時期があり、任期中の最大の課題を野球W杯の開催実施にしていた感じがあったのですが、それも乗り切ったようで、とても嬉しそうに会見に出席していたのが印象的でした。

選手たちの意向は、「国の代表としてプレーするという機会はこれまでなかったことなので、代表として選ばれることは名誉なことであり、ぜひ、WBCでプレーしたい」という答えでした。

WBCの会見後、オールスター選出プレーヤーの記者会見がありましたので、いろんな
選手たちにWBCについて話を聞きました。

まずイチロー選手。
――正式にWBCの日程が発表されたのだが。イチロー選手のWBCについての意欲は?
「どんな発表があったの? ぼくらはまだなにも聞いてないんだよね。開催日程とか条件とか(だれが招集するのかとかも含めてという意味)。だから、まだどう言っていいのかわからない。新しい試みであるということは評価しないといけないと思うのだけど、いまの時点で出る、出ないと、はっきり言う段階になってないというか…。WBCについてのコメントはもうちょっと待ってもらいたい」

出る意志はあるのだけど、詳細を聞いてから態度を表明したいということです。
イチローや松井、その他、MLBに移籍した日本人プレーヤーはMLB所属の選手であり、NPB支配下にはないのです。そうすると、NPBが招集をかけたときに、それに従わなければならないという義務も責任もない。MLBPA(MLB選手会)は、選手の自主参加という基本的な方針でいますので、主催者のひとりであるMLBPAがイチローや松井選手などに対して、なんとか参加してよという呼びかけをすることになるでしょう。

実際、WBCのテレビ放映権交渉の場では、イチローと松井の両方が出場した場合は、テレビ放映権はいくら、ひとりだけが出場した場合はいくらと、オプションがついた条件設定で交渉が行われているという話も伝わってきています。

NPBがイチローや松井に出てくれと招集をかけただけでは、イチローや松井が出てくれるわけではない。
彼らの契約球団であるマリナーズやヤンキースとの問題もあるわけですから。
今回のオールスターに出なかったので、松井選手の話はヤンキース番の記者諸君からのまた聞きですが、アジアラウンド(日本・韓国・台湾・中国)の開催時期はキャンプ中ですから、その時期に東京とアメリカを往復してアジアラウンドに出場するのは時差調整のことを考えるとむずかしいのではないかと、松井選手は漏らしているようです。

A・ロッドは、こっそり耳打ちで、
「出たいね。アメリカとドミニカのどちらの代表で出るかというと、ドミニカ代表を選ぶさ」
と、ドミニカ代表を選ぶとはっきり答えてくれました。

ミゲール・テハーダ
「すごく名誉なことだもの。選ばれたいし、出て活躍したいね。ドミニカのプレーヤーにとっては、WBCが新たな競争のモチベーションになる。みんなナショナル代表に選ばれたいと思って競争になるから、ドミニカのレベルはまた上がることになる。ドミニカが優勝すると自信を持っている」

マリアーノ・リベラ
「問題は開催時期だなあ。ぼくは肩が出来上がるのに5週間かかるんだ。WBCの開催時期というのは、ふだんのシーズンなら、まだ肩を作り始める時期で、そんなに早く仕上げたことなんてないからね。そんなに早く肩を作って、一年間、もつのかというのも、やったことがないしね。ナショナルチームに呼ばれることになると、たしかに投手陣のリーダーにならないといけないという意識はあるけど」

フェリペ・アルー(SFジャイアンツ監督)
――ドミニカ野球界のグランドファーザーとしてWBCについてどう思うか?
「MLBの現役球団監督はナショナルチームの監督をすることはできないんだが、アドバイスはするよ。短期決戦でいちばん重要なのは、投手陣をそろえることができるかどうかがいちばんの問題だね。いくらドミニカの打線がよくても、ピッチャーの駒数をそろえられなかったら、乗り切ることができない。これはライバルであるアメリカもベネズエラも、すべてのチームが抱える課題だね。でも、WBCで野球人気は盛り上がる方向になる。それはいいことなんじゃないかい」

デレク・リー
「もちろん選ばれたら、喜んで出るさ」
――君の場合は、日本に長い間(2歳から11歳まで)住んでいたから、親父さんや小父さんのように、日本チームの助っ人で出るつもりはないかい?
「そんなことってできるの? 日本の市民権は持ってないんだよ(笑)。そうか。そういうレギュレーションもあるのかな」
残念ですが、サッカーと違って、そういうレギュレーションはないみたいです。三冠王が話題になっているデレク・リーに記者団が集まって、同じ質問ばかりに少しへきへきしていたので、リラックスさせる質問を投げたのですが、とても喜んでくれました。

ついでだから、現在、三冠王を狙える位置にいるリーの話、書いておきます。デレク・リーは、リー兄弟の弟レオン・リーの長男ですが、今季前半を終えたところで、NLの打率、本塁打でトップ、打点でも2位にいます。
――トリプル・クラウンを狙える位置にいることはプレッシャーにならないのかい?
「こういう成績にいることをすごく喜んでいるんだ。後期も競争を楽しめたらと思っている。トリプル・クラウンを取ることができるかどうかなんて考えてもいない」
――9月末になって、同じ位置にいたら、プレッシャーをジャンピング・ボードだと思うようにしないと。トリプル・クラウンを狙える選手なんて、めったにいないんだぜ。それを狙えるなんて、そんな楽しいことないじゃないか。
「確かにそうかもしれない。いまの成績を続けることができたら、ポジティブに考えてみるよ」
とのことでした。

最後に、WBCの日程などの概要。

●ワールド・ベースボール・クラシックの概要
ワールド・ベースボール・クラシックについては、来年3月3日のアジア・リーグを皮切りに開始される。
参加16か国が4つのグループに分かれてリーグ戦「ラウンド1」(3試合ずつのリーグ戦)を行う。

プールA:台湾、中国、日本、韓国:開催地日本または台湾(3/3~5)
プールB:カナダ、メキシコ、南アフリカ、アメリカ:開催地アメリカ(3/8~11)
プールC:キューバ、オランダ、パナマ、プエルトリコ:開催地プエルトリコ(3/8~11)
プールD:オーストラリア、ドミニカ、イタリア、ベネズエラ:開催地アメリカ(3/8~11)

各グループの上位2チームが2グループに分かれて「ラウンド2」(3/13~15・3試合ずつのリーグ戦)
開催地アメリカ

セミファイナル:ラウンド2の上位2チームによる準決勝(3/18)

ファイナル:(3/20)開催地アメリカ

1チーム27人・内ピッチャーを12人以上登録すること。

といったところです。
今後の問題点としては、キューバを参加させることができるのかどうか。
MLBは、これはアメリカとキューバとの外交問題でもあるので、政府間交渉の進展を待つつもりだと答えています。MLBも、キューバ政府から、選手を亡命させないことという確約書を要求されるという認識でいます。キューバを口説くこと自体には、MLBは楽観的でいるように受け止めています。
開催地の詳細などは、また先に発表される予定ですが、来年の3月は、アジアラウンドを取材してからプエルトリコ、アメリカ入りということになるかなという感じです。


オールスター戦については、今回はなんていうこともありません。
選手の粒ぞろいを考えれば、アメリカン・リーグ圧勝で当たり前ですし、いちばんの話題がケニー・ロジャースではね。面白くもなんともない。
アメリカのTV視聴率は、今回のオールスターは過去最低を記録しています。MLBのファン層がアメリカ国内では飽和状態になっていることの現れでもあると思います。

MLBがWBCという新しいプロジェクトに乗り出さないといけないのは、マーケットをカリブ海やアジアに拡大しないといけないのだというセリグ・コミッショナー以下の危機感の具体化なのです。
日本球界が昨年の危機を乗り越えたように見えてはいても、各球団の黒字化が達成できているわけではない。長期的に見れば、MLBのアジア進出戦略のなかで、NPBがどのようにマーケットを守ろうとしているのか、はっきり見えません。

NPBがWBCを急に受け入れるという判断に達した裏には、NPBへの利益配分(興行権や興行収入)について、MLBもそれなりの配慮をしたというのが(NPB全体に対してなのか、読売グループに対してなのかが現時点でははっきり書きませんが)、ぼくが感じている感触です。

興行の世界なのですから、夢を売ってほしいと思うのだけども、MLBもNPBも、下手だなあというのが実感でした。

写真:2005年7月11日 WBC記者会見でのセリグ・コミッショナー(左)と、ドン・フレール(右)WBCの予定ユニフォームを着て、ミゲール・テハーダら、8か国のナショナル・チーム・ユニフォームを羽織った選手たちも登場して、記者団からそれぞれ質問を受けました。
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[T5] えっ!出るの?(メディア辞令)

MLB.com より。ワールドベースボールクラッシックに出場することに同意した選手が発表される。わがキャプテン、カノゥ、A-RODの名前が。

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