
フロリダ州では、前回の大統領選で多数の無効票が生じて訴訟騒ぎになったパームビーチ郡とマイアミ市を中心に選挙戦を追った。
マイアミから北へ約一〇〇キロ。保養地として知られるパームビーチの郡役所には、投票日の二週間前から毎日一五〇〇人もの有権者が事前投票に並ぶ騒ぎになっていた。
パームビーチ郡では有権者の二割、約二万人が事前投票で投票することになるのだが、前回の大統領選で生じた選挙管理委員会や州政府当局(フロリダ州知事はブッシュ大統領の弟ジェブ・ブッシュ氏)への不信感が今回の選挙にもそのまま持ち越された。
事前投票所の前には、両陣営から派遣されたボランティアたちが待機している。ボランティアは郡選挙管理委員会やメディアが投票に来た有権者に圧力をかけたりしないように監視する役目も果たす。
アメリカの選挙権は日本と違って、二十歳になると自動的に選挙権が得られるシステムではない。
アメリカは移民によって成立した国家である。フロリダ州の場合、キューバ系を中心にヒスパニック系移民が多い。故国を離れて永住権を取り、数年後にアメリカの市民権を取ったとしても選挙権はまた別である。居住地で有権者登録をしなければならない。
行列に並んだ有権者たちに聞くと、今回の選挙ではじめて投票するというヒスパニック系の新有権者が数多くいた。ボランティアたちがはじめて投票に来た有権者に投票の仕組みを説明してまわる。
三十度を超える暑い日昼に三時間も四時間も行列に並ぶよりも、投票日に投票すればと思うのだが、事前投票でないと、自分の投票が本当にカウントされるかどうかわからないという不信感が民主党側の有権者たちの間にはある。
「事前投票でさえこの行列さ。投票日だと、一日待たされることになるから」
と答えたのは共和党側の有権者。
パームビーチ郡の事前投票の異例な行列の模様は、テレビメディアを通じて全米に中継され、今回の選挙の投票率を押し上げることになるのである。
(2004年11月23日「愛媛新聞」掲載)
写真:フロリダ州パームビーチ郡役所の事前投票場に並ぶ有権者たち
■米大統領選次の記事へ--->
http://tra3.blog43.fc2.com/blog-entry-15.html
スポンサーサイト
-->
- http://tra3.blog43.fc2.com/tb.php/14-8af094a8
0件のトラックバック
コメントの投稿