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【スポバカ】 フットボール・ハイ 4 モウリーニョの憂鬱

5月25日 ゲルゼンキルヘン

 チャンピオンズリーグ決勝「ASモナコ―FCポルト」戦の前日練習と記者会見取材でゲルゼンキルヘンのアレーナ・シャルケへ。

 アレーナ・シャルケは、アムステルダムのアヤックスのスタジアム「アリーナ」と似た構造の天井開閉式、ピッチ搬入式のスタジアムである。ブンデス・リーガの「FCシャルケ04」のホーム・スタジアム。シャルケ04の「04」は1904年創立という意味。シャルケはレーバークーゼンなどと並んでドイツでももっとも歴史の古いクラブである。このスタジアムも2006年W杯の会場のひとつになる。

 このスタジアムで面白いのは、天井から吊り下げられた4面巨大ビジョン。7メートル四角の巨大な立方体状のテレビ画面がセンターサークルの真上にぶら下がっている。サッカー・スタジアムでこの方式は世界でここだけかな。サッカーのスタジアムというよりもNBAのバスケットボールの試合会場のような雰囲気だ。

 練習に現れたポルトの選手もモナコの選手も、ピッチに入ると思わずこの巨大ビジョンに見とれてしまう。陽気なポルトの選手たちは、てんでにボールを蹴り上げてはこのビジョンにぶつけようとしていたけど、ゲーム中にボールが当たったら、どういうことになるのか? 
まあ、レフェリーにボールが当たっても石ころと同じでプレーオンだから、そのままプレーすることになるのだろうが、ボールがビジョンの上に乗っかってしまって落ちてこなかったらどうするかという特別ルールがブンデス・リーガにはあるのかもしれない。

 2004年のファイナルはASモナコ(フランス・リーグ)とFCポルト(ポルトガル・リーグ)の対決となった。どちらも古豪のクラブではあるが、近年のチャンピオンズリーグのファイナルではめずらしいフレッシュなカードになった。

「UEFA杯のファイナルみたいだね」と口の悪い記者から皮肉られても仕方のない、やや小粒なクラブ同士の対決ではある。ファイナリストの常連であるレアルもミランもマンUもバイエルンも、ビッグネームを大勢抱えたアーセナルやチェルシーも、結局、決勝まで勝ち上がってくることができなかった。そのおかげでロンドンやマドリードやミラノからプレスの大部隊が現れることもなく、UEFA圏外からやって来たぼくのようなアウトサイダーにもプレス席が回ってきたわけで、個人的にはとてもありがたい対決である。

 両クラブともビッグ・クラブではないが、決してフロックで勝ち上がってきたわけではない。モナコはレアルとチェルシーを撃破し、ポルトもマンUとスペイン・リーグの強豪デポルティーボ・ラコルーニャを打ち破っての堂々のファイナリストなのだ。

 両チームの前日の監督記者会見では、モナコのデシャン、ポルトのモウリーニョの両監督とも、僅差のゲームになると語った。

 まずモナコのデシャン監督。1968年生まれの35歳。現役時代はマルセイユ、ユベントス、チェルシーなどで活躍した名MFで、98年フランスW杯で優勝したフランス代表チームの主将。

「モナコもポルトも実際、よく似たタイプのよく練り上げられたチームだと思う。彼らに勝つのは容易なことではない。しかし、われわれもこの決勝に向けて準備を重ねてきたので、なんとしても勝利をつかみとりたい。こういう大きな一発勝負のゲームというのは一瞬の小さなミスが命取りになってしまう、とてもハイリスクなゲームになるものだ。タイトなディフェンスと90分通しての集中力の持続が重要になるだろう。スペクタクルなサッカーではなく、より勝つためのサッカーを選択せざるをえないし、その意味で戦術的な対決になるはずだ。選手たちには常にクールであり、なおかつリラックスすることの重要さを常々話してきた。ポルトでもっとも警戒するプレーヤーはデコ。彼を徹底してマークするゲームになるだろう」

 一方のモウリーニョ・FCポルト監督。 モウリーニョ監督は1963年生まれの41歳。プロ選手としての経験はなく、バルセロナなどでコーチ修行。ポルトの監督に就任してからは、2003年にポルトガル選手権とUEFA杯のタイトルを勝ち取り、今年は三段跳びでチャンピオンズリーグのタイトルをも手中にしようという上り調子の監督だ。

「ゲームのキーはディフェンスになる。両チームは勝ち上がり方でも、チーム全員で勝ち上がってきたという点でも、とてもよく似たチームだ。3―0とか4―1といった点差のつくゲームにはならない。クロス・ゲーム、それもひとりのディフェンスの失敗や、アタッカーの魂のこもった一撃で決まるような試合になるはずだ。
選手たちには、これまでもたびたびエモーション(情熱)をコントロールしろ、そうしないと、こういうビッグゲームで勝つことはできないと言ってきた。気持ちだけが熱くなりすぎないよう、コントロールすることができるかどうかが重要だ。
戦術的には、われわれも、たぶんモナコも、互いのキープレーヤーや戦術にどう対処するべきか、すべて研究しつくしたうえで戦うゲームになる。予想できない攻撃などというのはないといってもいいだろう。双方ともにすべて手の内をわかったうえで戦うファイナル戦なんだ。
このゲームは自分自身にとっても、選手にとっても、クラブにとっても、キャリアのなかでいちばん重要なゲームになる。われわれはそういうゲームに臨むことができる幸運なチームである。そういう幸運なチームはグッド・フットボールをするチームでなければならない。守備的なだけの負けないサッカーはしない。現在のフットボールに貢献できる素晴らしいゲームをしたい」

 年齢的にも、キャリアでもともに若いといっていい両監督。元スーパースターらしく、立て板に水のようにフランス語でも英語でも陽気に応えるデシャン、一語一語、自分でも内容を噛みしめるように冷静沈着に応えたモウリーニョ。実に対照的な記者会見だった。

 両チームの前日練習を観るためにピッチ脇で待機。
 世界100か国以上に中継される大ゲームである。オープニング・セレモニーのリハーサルが繰り返され、6万近い観客席のすべての椅子にオフィシャルスポンサーのカード会社のカバーがかけられていく。

 モウリーニョ監督がピッチに現れた。モウリーニョは芝の感触を確かめると、ピッチの隅から隅まで30分近くかけて歩き、気がついたことをアシスタントコーチにメモを取らせた。

 ポルトの選手たちが現れ、トレーニングが始まった。ポルトのチーム関係席から歓声が上がる。
 モウリーニョが歓声が上がった方を指差してなにか言った。
「オイ、おまえのあの娘はまた来てやがるぞ」とでも冗談を言ったのだろう。選手たちがいっせいに吹き出した。若手の選手たちはアレーナに流れる音楽に合わせてステップを踏んだり、鼻歌を歌ったり、前日練習とは思えないリラックスぶり。
 重苦しくのしかかってくるサポーターたちの過度な期待やプレッシャーはすべてモウリーニョが引き受けているという感じがしたのがポルトだった。

 モナコのほうは、規律重視がチームのモットー。トレーニング・コーチが吹くホイッスルと掛け声が聞こえてくるるだけで、選手たちは一言もしゃべらない。デシャン監督も記者会見のときのような甘い笑顔はいっさいなしのしかめっ面で、注文はコーチにボソボソッと話す。選手よりも、デシャン自身が緊張しているように見えた。

 大舞台を翌日に控えて、緊張とリラックスの配分、どちらがいいのかはわからない。どちらの選手たちも、ヨーロッパ最高のタイトルを取りたいというモチベーションでは同じだろう。チーム力も互角なら、普段と変わらない自分たちのプレーをさせるとしたら、よりリラックスしているほうに分があるかなというのがぼくの見方。

2004/05/25 石川とら


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