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【スポバカ】 EURO2004「デンマーク 2-2 スウェーデン」ポルト

 ポルトガル入りして初めての雨らしい雨。
 ポルトのボアビスタ・ベッサ・スタジアムを霧雨が洗う。気温は18か19度。
 この気温なら、デンマークの足も最後まで保つかもしれない。デンマークには天の恵みか。

 第2戦を終えて、イタリアの記者のひとりは、
「スウェーデンとデンマークの2チームはうまいディール(取引)をやるだろうよ。すべてはスウェーデン戦で追加点を奪えなかったアズーリ(イタリア代表)が悪いのさ」
 と、自嘲気味にこぼした。

 第2戦を終えたところで、グループCの上位3チームの成績は以下のとおり。
 1位スウェーデン:1勝1分け勝ち点「4」、2位デンマーク:1勝1分け勝ち点「4」、イタリア:2分け勝ち点「2」。
 第3戦で、イタリアはすでにグループリーグ敗退が決まってモチベーションがないブルガリア相手であれば、勝利する可能性は高いだろうから、そうすると、1勝2分けで勝ち点を「5」まで伸ばすことになる。

 スウェーデンとデンマークはどちらかが勝てば勝ち点「7」で1位抜け決定。敗れたほうが3位になる。しかし、ドローになると、勝ち点「5」で3チームが並んでしまうのだ。

 そうなったときの順位の判定がなかなかややっこしい。まずは当該チーム同士の戦いの得失点差、次に優先されるのが、当該チーム同士の戦いでの総得点数。
 つまり、「デンマーク 0-0 イタリア」、「イタリア 1-1 スウェーデン」に「デンマーク─スウェーデン」が引き分けだとすると、得失点差は3チームとも「0」で並ぶ。次は、3試合の巴戦の総得点数が問題になる。現在、イタリアとスウェーデンは総得点「1」、デンマークが「0」。

 もし、「デンマーク─スウェーデン」戦が「0-0」であれば、総得点「1」のスウェーデンとイタリアが1位と2位に。「1-1」のドローなら、スウェーデンが総得点「2」で1位に。デンマークとイタリアは該当国間の総得点も「1」で並ぶ。その場合は、グループリーグ3試合の得失点差、総得点数で順位が決まる。
 しかし、もし「2-2」以上のドローであれば、その時点でスウェーデンは総得点「3」で1位、デンマークが「2」で2位となる。いずれにしろ、イタリアは第3戦に勝っても、自力で決勝トーナメント進出はないのである。

「0-0」あるいは「1-1」のドローゲームは、やろうと思えばできるだろう。しかし、「2-2」のドローというのは、意図的にやろうとしても簡単にできるものではない。

 しかし、イタリアのトラパットーニ監督や選手たちは、第2戦後のインタビューで、たぶんスウェーデンとデンマークはそのようなゲームをするだろうとさかんに記者たちに話した。ただし、それは、2チームにそのような「出来レース」のゲームをさせないようにするために、メディアを使って牽制したと受け止めるべきで。

 W杯やヨーロッパ選手権のグループリーグの最終戦では、すでに決勝トーナメント進出を決めてしまったチームにとっては、消化試合でしかない場合もある。
 中心選手を出して、イエロー累積や故障を出してはあとのゲームに差し障りがあるので、主力を引っ込めてしまう(その結果、引き分けや負けてしまうことだってある)のは当たり前のことだ。
 調整試合にした結果、ドローどころか思わぬ敗戦を喫してしてしまうと、実は、チームの勢いが削がれてしまうもので(たとえば98年W杯のブラジルやナイジェリアがそういうことをやって、ナイジェリアは次のデンマーク戦で大敗している)。
 また、決勝トーナメントで合い口の悪い相手と当たりたくないために、わざと2位抜けをねらうなどというケースもないわけでもない。

 つまり、そういうこともふくめて、ファイナルまで進もうとすれば、4週間で6連戦をどう乗り切るかまでマネージメントしないといけないのが、こういう大トーナメントなのである。

 では、実際、「2-2」のドローゲームをやることができるか? 
 どちらのチームも、勝っても負けても、あるいはドローでも、1位か2位が保証されているのであれば、そのような談合もできるかもしれない。しかし、敗れたほうがトーナメントから脱落、しかも、「0-0」のドローでも敗退になるという条件がついてくると、当然のことだが、そのような不利な条件を抱えるチームが(つまりこの場合だと、デンマークが)勝負に出ざるをえなくなる。

 振り子は一度、振れてしまえば、今度はもう一方に振れざるをえなくなる。それがゲームというものである。
「北欧4カ国は仲がいいだって? そう見えるかもしれないがね。いつもそうとは限らないさ。歴史的にみても、スウェーデンがわれわれを支配していた時代もあるしね。ましてやサッカーで向こうに譲らないといけない義理なんてないさ」
と、ディールの噂を否定したのはデンマークのサポーター。

「デンマークは点を取りに来るだろう。そうしたら、こちらも負けるわけにはいかない。2-2でうまく止めるなんて不可能だよ。もし失敗したら、こちらが敗退するかもしれないじゃないか。イタリア人の悪い冗談だね。でも、実際にそうなったら見物だけどね」
 と、笑ったのはスウェーデンの記者。

 日本じゃ、「デンマーク─スウェーデン」と「イタリア─ブルガリア」のどちらの放送を見るファンが多いんだろうか。
 これから見るっていう人には、結果を書いて申し訳ないけど、「デンマーク─スウェーデン」戦を見ることをおすすめする。たぶん10年か20年に1回あるかないかの不思議なゲームだから。

デンマーク 2─2 スウェーデン
◇得点
デンマーク:トマソン(28分、66分)
スウェーデン:ラーション(47分・PK)、ヨンソン(89分)

◇先発メンバー
[デンマーク] 「4─3─3」
GK:ソレンセン
DF:N・イェンセン(46分ベゲルンド)、ヘンリクセン、ラウルセン、ヘルベグ
MF:グラベセン、D・イェンセン(65分ポウルセン)、トマソン
FW:ヨルゲンセン(57分ロメンダール)、サンド、グロンケア

[スウェーデン] 「4―4―2」
GK:イサクソン
DF:エドマン、ヤコブソン、メルベリ、ニルソン
MF:ユングベリ、アンデション(81分アルベック)、カルストローム(72分ビルヘルムション)、ヨンソン
FW:ラーション、イブラヒモビッチ

レフェリー:マルクス・メルク(ドイツ)

 前半序盤、雨でスリッピーなピッチということもあって、双方、パス・インターセプトの多い展開。あせる必要のないスウェーデンはセーフティー第一でバランスを崩す無理な攻めをしない。デンマークが早いプレスで左右のヨルゲンセン、グロンケアのクロスで仕掛ける。

 前半28分、ボランチのグラベセンからの早い浮き球のスルーパスをゴール正面約25メートルでもらったトマソンが、うまくトラップし、前に出ていたGKを見透かして、ループシュートでデンマークが1点目。トラップからシュートまで美しい、トマソンのファイン・ゴール。

 スウェーデン、デンマークの1点リードをきっかけにラインを上げて反撃に。
34分から38分まで猛攻撃。再三のシュートも、GKのファインセーブとゴールポストに嫌われて得点ならず。
 スウェーデン、前半だけで8回のCKのチャンスをものにできず、今日はつき目のない日か。前半「1-0」デンマークのリードで折り返し。

 ハーフタイムに同時刻開催の「イタリア 0-1 ブルガリア」の途中経過が発表され、スタジアムに歓声。
 後半。キックオフ直後、ペナルティー・エリア内に突進したラーションをGKが倒してPK。ラーションがこのPKを決めて「1-1」の振り出しに。

 66分、デンマークがCKからのクリアボールをシュート。GKのクリアボールをゴール前につめていたトマソンがゴール。トマソン、値千金の2ゴール目。デンマーク、これで決勝トーナメント進出の可能性大に。

 イタリア、「1-1」に追いついているとの情報。スウェーデン、敗退の可能性も出てきたため、必死の攻撃。ラーション、デンマークのバックパスのたびに相手GKのところまで追いかける。
 81分、スウェーデン、イタリア戦のときと同じようにアルベックを投入し、前列に4人、2列目にラーションとリュングベリという超攻撃的な6人攻撃態勢。しかし、再三、デンマークのカウンターに遭い、GKとディフェンスのファインプレーで追加点をなんとか防ぐ。

 このまま「1-2」で終わりかと思われた89分、ビルヘルムソンが左サイドをドリブルで突破、ゴール脇まで潜り込んでクロス。GKがこのボールをはじいたものの、ヨンソンがつめてゴール。スウェーデン、土壇場で「2-2」に追いつく。

 なんと、本当に「2-2」になってしまったのだ。ロスタイムになってデンマークのキックオフも、双方、もう攻撃の意志なし。スウェーデン・チーム、マイボールをバックスの間でパスするだけ。
 両方のゴール裏で、スウェーデンとデンマークのサポーター、両者の決勝トーナメント進出に大騒ぎ。喜ぶこと、喜ぶこと。
 終了のホイッスルとともに、両チームの選手たち、抱き合って喜ぶ。
 審判団、この試合の笛を吹くのによほど神経を使ったらしい。互いに無事勤めを果たしたをねぎらい合っている。
 なんというハッピー・エンド。斜め前の席のイタリア人記者のラップトップには「アリデベルチ・アズーリ(さよならイタリア)」のタイトルの速報レポート。
 アズーリの文字が雨に濡れて泣いている。

 イタリアは負けずしてEUROから消えた。ゴールを挙げなかった君たちが悪いのさ。これが「出来レース」だって。そんなことはない。ほとんど90分間、見事に両者は戦った。そして戦利品を山分けしただけだ。それがサッカーというものさ。

グループC最終順位
         勝  分  敗  総得点 総失点  ポイント
スウェーデン  1  2  0   8    1    5
デンマーク   1  2  0   4    3    5
イタリア    1  2  0   3    2    5
ブルガリア   0  0  3   1    9    0

2004/06/23 4:00 ポルトの宿にて。石川とら


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