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アテネ五輪 長嶋ジャパン敗戦レポート

「長嶋ジャパン」、残念。銅メダルに終わりました。

 8月24日、ギリシャ第2の都市、テッサロニキに、サッカー男子の準決勝「イラク-パラグアイ」戦取材のために到着したところで、日本から「長嶋ジャパン」、オーストラリアに苦戦中との急電。

 ギリシャのテレビでは野球の中継を流していないので、日本から刻々電話で戦況を送ってもらい、ウィリアムズ投手が出てきたあたりからこりゃダメかなという展開に、胃のあたりが痛くなりました。

 そんなわけでイラク戦終了後、夜行列車でそのままアテネにとんぼ返りしての三位決定戦「対カナダ戦」の観戦となりました。
 一次リーグで、キューバではなくオーストラリアに敗れたのはかえっていい薬になるかもと、いいように考えるようにしていたのですが、ローテーションからいって松坂大輔の登板で、よもやの再敗になるとは。

 一度目は乱打戦で「9-4」の負け、準決勝では投手戦の末、散発5安打「1-0」の完封負け。
 同じチームに2度戦って連敗してしまっては、日本はオーストラリアよりも弱かったんだと認めるしかない。

「長嶋ジャパン」は、戦力的に見れば、強敵になると見られていた3A主体のアメリカや、日本と同じようにオールプロ編成の韓国が五輪予選時点で敗退して出場権を逃していましたから、間違いなく金メダルを狙えるチームでした。

 考えてみれば、「ドリーム・チーム」と呼ばれるオールスター・チームがオリンピックのような大きなトーナメントで負けてしまうことはたまにある。
 長野五輪のアイスホッケーのアメリカン・オールスター。金メダル確実かと見られていたあの強力チームもメダルを逃して敗退したのを長野で見ていますが、リンクサイドで呆然と泣いていたあのときのアメリカのファンを思い出してしまった。

 ファンや国を挙げての熱狂的な期待を背負っての大きなトーナメントでは、オールスター・チームであっても、プレッシャーに負けてしまう。

 直接的な敗因は看板の打線が打てなかったということにつきるでしょう。慣れない外国での短期決戦で湿りがちになった打線の調子が上向くことなく、そのまま終わってしまった。

 一次リーグのキューバ戦で、日本が城島、中村の連続本塁打で「4-0」と突き放した展開で、こんなことがありました。
 続く谷もヒットでノーアウト1塁。ここで次の小笠原に送りバント。「ウ~ン」とうなってしまったですね。

 上下2枚のクリーンナップを並べたような重量打線はなんのためだったんだろう。たしかに1点でも余計にほしいのはわかるけど。各チームの4番バッターにああいうことをやっていると、打撃が湿りがちになっても仕方ない。選手たち以上に、ベンチがプレッシャーに押しつぶされていたとぼくは見ています。

 オーストラリアのディーブル監督が準決勝のあと、日本戦について、プランどおりのゲームをすることができたと語っていますが、ディーブル監督やコーチは日本でリーグ戦も実際に偵察して情報を収集して備えていた。

 勝つだろう、勝てるだろうというときほど、「本当に勝てるかな?」と石橋を叩いて備えなければならないのが世界との勝負です。「長嶋ジャパン」、はたしてそれができていたのか。
 長嶋監督の闘病離脱のあと、情報収集といった勝利のためのチーム・マネージメントに綻びが出たのは残念です。

 ひとつ、苦言を呈します。
 一次リーグのときからカナダ戦まで、日本ベンチのなかに長嶋茂雄監督の背番号「3」のユニフォームやサイン入りフラッグが飾られているのが、反対側ベンチ裏の観客席からもよく見えました。

「長嶋ジャパン」というチームの精神的なシンボルが欲しかったという気持ちはわかります。しかし、長嶋さんがゲームをやるわけではありませんからね。
 義理人情美談としては、日本のファンに訴えるものがあったかもしれませんが、長嶋さんの神通力で勝ちたいなどというのは「2004年世界のベースボール」としては実に不思議な光景でした。そんなことよりほかにやることがあるだろうと思うのですが。

「長嶋ジャパン」の敗戦の教訓を、次回の五輪や、2、3年後に開催が有望となっている野球W杯に向けて、いかにフィードバックするかが今後の重要な課題になるでしょう。

 五輪のゲームが行われたアテネの球場で、IBAF(国際野球連盟)のセッシ・チェアマンから野球W杯の開催計画について、進捗状況を聞く機会がありました。

 セッシ氏によれば、8月16日にアテネで、MLB(米メジャーリーグ)がIBAに対して野球W杯の開催計画を正式に提案したとのことです。
 野球W杯開催の最大の懸案事項だった大リーグ側のドーピング・チェックについても、IOC(国際オリンピック連盟)水準のドーピング・テストをすることでほぼ合意に達しているとのこと(大リーグと選手会との最終合意にはまだ少し時間がかかるでしょうが)。

 MLBのセリグ・コミッショナーは、大リーグの将来的な経営戦略の立場から、野球W杯の開催に熱心にとりくんでおり、3月に筆者が質問したときにも、「ベースボールを国際的な人気スポーツにするにはサッカーのようにW杯の早期開催以外にない」とはっきり持論を述べました。

 MLBは、第1回のW杯を2006年3月開催を目標に各球団の同意を取り付けようとしています。実際の開催時期はそれよりも1年か2年先にずれ込む可能性はありますが、「野球W杯」は夢物語ではなく、「北京五輪」よりも先に行われることになるでしょう。

 球界再編問題で日本のプロ野球は存亡の危機にあります。球団が消滅すれば、確実に数十万、百万単位のファンのプロ野球離れが起きるでしょう。

 野球W杯の開催やアジア地域でのリーグ戦の実施といった野球の国際化は、そのような危機の時代に野球ファンの興味を引きつけるためにも必要なプロジェクトになるはずです。

 サッカーのW杯を例にとるまでもなく、ナショナル・フラッグを背負って戦うチームには、人気が集まります。
 そして、そこで勝つことが日本の野球人気を取り戻す最大の切り札になるはずです。

「長嶋ジャパン」の金メダルの夢はついえましたが、アテネの敗戦を直視して、なぜ敗れたのか、勝つためにはなにが必要なのかというノウハウを次のナショナル・チームに早急にフィードバックしてもらいたい。
 北京で、あるいは野球W杯でもう一度、競わなければならない日はそう遠くはない。

「読売ウィークリー」2004年9月初旬発売号に掲載。

2004年8月26日 アテネより送稿。石川とら

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