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【スポバカ】EURO2004 準々決勝「チェコ 3-0 デンマーク」

黄金世代+バロシュの得点力=最強チェコ

 ポルトガル入りして3週間、今日でやっと怒濤の16連戦が終了する。

 リスボンやポルトの街に咲いていた紫のジャカランダの花も盛りを過ぎて、ホタルブクロのような可憐な花弁が石畳に散っていく。

 容赦なく照りつける南欧の陽射しは変わりがないように見えて、確実に時間が過ぎている。16チームのうち12チームが今日で姿を消したのだ。

 準々決勝4戦目の「チェコ―デンマーク」戦はポルトのドラガン・スタジアムに戻っての開催。
 ポルトガル南端の町ファロから深夜のプレス・バスでリスボンに戻り、2時間仮眠。昼過ぎの特急でポルトへ移動。ギュンター・ネッツアー(1970年代の西ドイツを代表する名プレーヤーで中盤の司令塔)と同じ電車でしばらく立ち話。
「今回のEUROはどうだい?」と感想を聞かれたので、こう答える。

「たしかにドラマチックなゲームは多かった。それには満足しているけど、EURO2000に比べると、ヨーロッパ・サッカーの停滞を感じるね。戦力を充実させて伸びてきたチームが期待していたより少ない。チェコ、ギリシャ、スウェーデン、クロアチア、それくらいかな、面白いサッカーをするなと思ったのは。フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、イングランド、サッカー大国がみんな力を落としている。とくに君のドイツなんかどうしてあんな古いスタイルのサッカーしかしないのかな。2年あれば、改善できるのかどうか、難しいところだね」

 第1戦のオランダ戦でいいゲームをやっても、それが続かない。ブンデス・リーガ自体が、第2のメーメット・ショルやハッサン・サシュみたいな新しい才能を見つけ出して育てる発想を持たないと、パワープレーだけの古いサッカーから抜け出せないだろうというのがぼくの意見。
 ネッツアーも「そのとおりなんだ」とうなずく。

 サッカーのゲーム自体を連続して見ながら、各国のジャーナリストやサッカー関係者と意見交換するには、EUROのようなイベントは最適の機会である。
 さて、「チェコ―デンマーク」戦。デンマークがどこまで善戦して持ちこたえることができるだろうかというゲーム。

チェコ 3―0 デンマーク
得点:コレル(49分)、バロシュ(63分、65分)

先発
[チェコ]
GK:チェフ
DF:ヤンクロフスキー、ボルフ(65分ローゼナル)、ウィファルシ、イラネク(39分グリゲラ)
MF:ガラセク、ネドベド、ロシツキー、ポボルスキー
FW:コレル、バロシュ(71分ハインツ)

[デンマーク]
GK:ソーレンセン
DF:ベゲルンド、ヘンリクセン、ラウルセン、ヘルベグ
MF:グラベセン、ポウルセン、イエンセン(71分マドセン)
FW:ヨルゲンセン(85分レベンクランス)、トマソン、グロンケア(77分ロンメダール)
レフェリー:ヴァレンティン・イワノフ(ロシア)

 前半は双方、互角。チェコは中盤の守りの要ガラセクを4バックの前にアンカー的に置いたディフェンシブなフォーメーション。
 なるほど。ブリュックナー監督は、どんなに攻撃力に優れたチームであっても、決勝トーナメントを勝ち上がるためには、まず守備のバランスからという考え方を基本にしている監督だ。

 チェコは、2トップのコレル、バロシュに、トップ下のネドベド、あるいはサイドのポボルスキーを含めて、3人、あるいは4人だけでもシュートまでもっていくことができる、強力な攻撃の型を持っているチームである。
長身のコレルに合わせてハイボールを入れ、コレルが競り勝って落としたところを2列目が走り込んでシュートというシンプルな攻撃でも破壊力がある。

 デンマークは中盤で早いプレスをかけて、ネドベドやポボルスキー、ロシツキーらに思うようにボール・キープさせないで、ボールを奪ったら、即、カウンターという戦術。左サイドのヨルゲンセンに球がつながると、左サイドバックのベゲルンドも積極的にオーバーラップしてシュートの展開までは持っていく。しかし、右トップのグロンケアに切れ味がない。EURO開幕ぎりぎりでチーム入りしたグロンケアはコンディションが万全ではないのか。
「0―0」のまま前半終了。

 後半開始になっても、チェコの選手たちなかなか出てこない。ブリュックナー監督、よほど綿密な指示をしたのではないのかな。

 後半49分、ネドベドのペナルティ・エリア内のドリブル突破から生まれた右コーナー・キックのチャンス。デンマークDFが、ゴール真正面のコレルをフリーにしてしまうというミス。コレル、待ってましたとばかりに強烈なヘッドを決めて「1―0」。

 これでデンマーク・ディフェンスの緊張の糸が切れてしまった。それまでせっかくいいゲームをしていたのだが、ひとつのミスでゲームが壊れることになってしまった。

 63分、65分と、バイタルエリアに斜めに走り込むバロシュにスパッとスルーパスがつながり、バロシュが4試合連続、通算で5ゴールとなる2ゴールを決めて、チェコ「3―0」の完勝。
 
 バロシュはこの2ゴールで、準々決勝を終えた時点で、得点王争いのトップに躍り出る。新しいヒーローの出現に、ミックス・ゾーンではバロシュの周囲にプレスが群がった。

 ゲーム後の会見でブリュックナー監督に(この監督が勝ち残った4チームの監督のなかでいちばんの「タヌキ親父」。ポルトガルのスコラーリ、ギリシャのレーハーゲル、オランダのアドフォカートと、勝ち残った4チームの監督はいずれ劣らぬ記者の質問をはぐらかす名手ばかりで、戦術や戦略に関わることは話してくれない)、
 ――ハーフタイムに選手たちに、いったいどんなマジック・アドバイスをしたのか?
 と質問してみたのだが、
「サッカーというゲームはいろんなパートがあるのでね」
といった要領を得ないサッカー哲学を話すのみ。記者泣かせの名監督である。

 バロシュに「あのスルーパスは決めてあったパスかい?」と聞いてみたところ、
「そうだ。前半はああいう抜け出す展開がなかったけど、後半は必ず、ああいうチャンスがあると思っていたたから、動き出しにだけ気をつけていたんだ」
 という答え。
 早いプレスとそのカバーで上がり気味のデンマークのDFラインの裏を狙ってスルーパスを出せという指示が、ブリュックナー監督からハーフタイムに出されたのだと推理しているのだが。

 それにしても、バロシュの決定力は見事。ぼく自身、3試合で4本のゴールを見せられたわけだけど、スピードと足に吸い付いたようなドリブル、足さばきは、本当にすごいというしかない。
 しかも彼は90分間すべて、出ているわけではないのだ。どんなにバロシュの調子がよくても、今季、リバプールで故障欠場が多かったバロシュの体調を考えてか、今日も70分過ぎでお役ご免。このあたりもブリュックナー監督、慎重である。

 現在のチェコのチーム状態について、96年大会にも出場していたシュミチェルがこう説明してくれた。

「チェコにも黄金世代があるんだ。ポルトガルがそうだったようにね。ぼく、ネドベド、コレル、ガラセク、ポボルスキーといった72、73年生まれのベテラン。ぼくらは2000年も2002年も大きな失敗をしてしまった。今回の大会が成功をめざすなら最後のチャンスだとぼくらは強く思っている。そこにバロシュが加わった。あいつは天才だよ。テストマッチで6試合連続で9ゴールだっけ? これはチェコ・サッカーの新記録なんだ、バロシュがやったことはね。そのうえにブリュックナーという監督がいるわけさ。これ以上、なにが必要かい。1試合、1試合を監督の指示どおりに戦えば、夢がかなうんじゃないかな。とにかく次のギリシャ戦に備えるだけだね」

「グループAを勝ち上がったギリシャに比べると、われわれは(体力の)リカバリーの時間が2日、少なくなる。だから、われわれはリーグ第3戦のドイツ戦でBチームで戦った。そうしないと、消耗戦になる決勝トーナメントは戦えないからね」
 と、会見で語ったブリュックナー監督の手綱の操り方は見事というほかない。
 チェコの強さを改めて感じた準々決勝第4戦だった。

 この結果、セミ・ファイナルは、
 6月30日「ポルトガル-オランダ」
 7月1日「ギリシャ-チェコ」
 となった。
 奇しくも、「グループA組」対「グループD組」の対決。
 こんな予想、だれができただろう。楽しみです。

(6月27日 午前3時 明日から初の2日間の休みにウキウキしているポルトにて。「寝るぞー!」) 石川とら

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