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【スポバカ】EURO2004 ファイナル「ポルトガル 0-1 ギリシャ」

 とかくこの世は、かように「ハッピー・エンド」とはいかないものなのです。
 そんな結末だったというしかありません。

 開催国ポルトガルに勝たせたいという願いと期待をもって試合に臨みましたが、「レーハーゲル・ギリシャ」の思う壺にはまってしまって、開幕戦に続き、2試合とも完敗ではグウの音も出ません。

 ギリシャ・ディフェンス、完璧でした。そして、またしてもCKからの1発で決まりというのも、たぶんレーハーゲル監督の計算通りの勝ち方だったと思います。

 ゲーム後の監督記者会見で、先に敗者のフェリペ・スコラーリ監督が登場したので、
 ――今日のギリシャのディフェンシブなゲーム・スタイルは、試合前に想定していたとおりだったか?
 と聞きました。
「そのとおり。ギリシャというのは、ああいうフットボールをするチームであり、1本のCKでゴールを上げるようなタイプのチームであることはゲーム前からわかっていたし、それを彼らがうまくやったということだ」

 一方のレーハーゲル監督には、
 ――今夜くらいはアグレッシブなポルトガルの攻撃に対して、あなたがどのようなタクティクスとストラテジーで臨んだのか、聞かせてもらってもいいだろうか?
 と聞いたのだが(レーハーゲルに同じ質問をするのはこれで3度目)、
「それは言わない。秘密だよ」
 と、タヌキ親父の名監督、今日も口にチャックするふりをして、戦術、戦略についてはいっさい語らなかった。

 今回の優勝で、2006年W杯予選でますますマークされる立場になってしまった以上、得にならないことはいっさいしゃべらないということか。

 ボール・ポゼッションは、前後半通じて、ポルトガルの55%強、ギリシャ45%弱というところだろう。ゲームとしては常にポルトガルが支配しているのだが、ラストパスが通っても、ペナルティ・エリア内にギリシャのバックス4人、MF3人の計7人に立ちはだかられては、シュート・コースがほとんどない(最後の15分など、「4人+4人」の8人で守られて、打つシュート、打つシュートが、ディフェンダーにクリアされるばかりだった)。

 それではと、高いクロスで左右から攻めようとすると、ほとんどGKに処理されてしまう。
 公式レポートでシュート数を拾ってみると、前半ポルトガルが4本、ギリシャが1本。後半がポルトガル13本、ギリシャが3本。前後半通じて、そのうちゴール・マウスに飛んだシュートはポルトガルの5本に対してギリシャは1本。ついでにCKの数は、ポルトガルが前後半通じて10本、これに対してギリシャは1本。

 つまり、ギリシャは後半57分の唯一のCKのチャンスをハリステアスが見事に決めたわけだけど、そのシュート1本しか枠にいったシュートはなかったということなのだ。

 数字で見ると、圧倒的にポルトガルが押していたように見えるけども、では実際そうだったか。
 ギリシャが攻めていなかったかというと、そうではない。ギリシャは典型的なカウンター・サッカーのチームなのだ。

 通常の攻撃は、ロングボールをハリステアスに競らせて、落としたボールをブリザスかジャンナコパウロスに追わせる。あるいは、バシナス、ザゴラキスの両ボランチと、その中央後ろでアンカーとして入っているカソウラニスがボールをインターセプトした瞬間、ジャンナコパウロス、ザゴラキスらが攻め上がるという攻撃パターン。

 ラストパスが通らなかったら、MFはさっさと自陣に引き上げるので、ただ守っているだけのように見えるけれども、カソウラニスやザゴラキスがときどき試みた攻め上がりはポルトガル・ディフェンダーには脅威だったはずだ。

 一方のポルトガル、1点リードされてルイ・コスタを投入した以後、ルイ・コスタ、フィーゴ、デコ、クリスティアーノ・ロナウドらが試みるスルー・パスは多彩。だが、ロナウドが起点になったときには、ドリブルで持ちたがるために、ギリシャ・ディフェンスの7人が隊列を組む時間的な余裕を与えてしまったケースがほとんどだった。

 中央でのスルー・パスやドリブル突破は、3人のMFとセンターバックのデラスに阻まれてしまい、あわやというシュート・チャンスはフィーゴとロナウドが後半1度ずつの計2度だけ。つまり、ボールは自由に持たせてもらえるのだが、最後の一線を突破できなかったのが今日のポルトガルだった。

 スコラーリ監督にしてみれば、前半43分の右サイドバック・ミゲルの交代が痛かったろう。ミゲル自身は、今日は前半からそれほど調子がいいわけではなかったが、負傷交代で交代枠を1枚、使ってしまったため、あと1人(たとえばシモン投入)を代えて攻めきることができなかった。

 明日のポルトガルの新聞はどう書くのだろう。同じチームに2度、同じような負け方をしてしまっては、ファイナルまで勝ち残ったプライドもズタズタにされた思いだろう。

 あたりまえのことだけど、1チームしかチャンピオンにはなることができない。
 たった1度のCKで、ギリシャの得点源ハリステアスをノーマークにしてしまった一瞬の隙。1000万人のポルトガル国民の期待が、時間がたつごとに選手たちに心理的なプレッシャーとなっていたのだろうか。

 スタジアムの4分の1を占めたギリシャのサポーターたちの大騒ぎとは対照的に、無言でゲームを見つめるしかなかったポルトガルのファンたちの胸の痛みを考えると、慰めの言葉も見つからない。

 お世話になったボランティアやポルトガル協会の広報関係者、仲良くなった各国のプレスに「長いあいだありがとう」と声をかけてスタジアムを出る。
 約3週間で19試合。ぼくにとっても濃密すぎるタフなゲームがやっと終わった。
 
 負けてしまった心痛でリスボンの下町には歌声もない。

ポルトガル 0-1 ギリシャ
得点:57分 ハリステアス

【ポルトガル先発】
GK:1リカルド(スポルティング)
DF:14ヌノ・バレンテ(FCポルト)、16リカルド・カルバーリョ(FCポルト)、4ジョルジ・アンドラーデ(デポルティーボ)、13ミゲル(ベンフィカ)→43分2パウロ・フェレイラ(FCポルト)
MF:6コスティーニャ(FCポルト)→60分10ルイ・コスタ(ACミラン)、18マニシェ(FCポルト)、20デコ(FCポルト)、7フィーゴ(レアル・マドリッド)
FW:17クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスターU)、9パウレタ(パリ・サンジェルマン)→74分21ヌノ・ゴメス(ベンフィカ)

   ポルトガル「4-2-3-1」

       GK リカルド

    アンドラーデ  カルバーリョ
ミゲル            ヌノ・バレンティ

    マニシェ コスティーニャ

         デコ
 フィーゴ           C・ロナウド

         パウレタ
           ↓

     ギリシャ「4-3-3」
           ↑

          プリザス
   ジャンナコパウロス   ハリステアス


  バシナス           ザゴラキス
          カソウラニス
フィサス              セイタリディス
        デラス  カプシス

         GK ニコポリディス

【ギリシャ先発】
GK:1ニコポリディス(パナシナイコス)
DF:14フィサス(ベンフィカ)、19カプシス(AEKアテネ)、5デラス(ASローマ)、2セイタリディス(パナシナイコス)
MF:21カソウラニス(AEKアテネ)、6バシナス(パナシナイコス)、7ザゴラキス(AEKアテネ)、8ジャンナコパウロス(ボルトン)→76分3ベネティディス(オリンピアコス)
FW:9ハリステアス(ブレーメン)、15ブリザス(フィオレンティーナ)→81分22パパドパウロス(パナシナイコス)

レフェリー:マーカス・メルク(ドイツ)

(7月5日 午前3時半 夜更けのリスボンにて、宿に戻るタクシーが通りかかるのを待ちながら) 石川とら
    
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