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【スポバカ】MLB ホワイトソックス―マリナーズ(7/9、シカゴ)

どうしてぼくはMLBに来ることになったのか?

 7月9日、NYからシカゴに移動しました。

 シカゴの街、空港からホテルまでリムジンバスで走っただけで、まだ歩いてみる時間がありませんが、やっと「ブルース・ブラザーズ」などで見ていたシカゴの街の構造がわかりました。

 NYを東京だとすると、シカゴは大阪みたいな街です。
 リムジンバスの運転手のお姉さんが話す言葉の感じも、NYとちがってのんびりしてます。25歳くらいの黒人の女性の運転手さんでしたが、話し方がそのままテンポの遅いラップのようなしゃべり方。NYのように必要なことしか話さない、つっけんどんなものの言い方じゃなくて、やわらかい情感がこもった言葉で、シカゴの街、一日で好きになりました。

 NYではマンハッタンのタイムズスクエアのすぐそばに泊まっていたのですが(日本でいうと、銀座通り裏、新橋駅裏のビジネスホテルといった感じの宿)、ホテルの従業員はパキスタン系の人、隣のオールナイトのスーパーの従業員はエジプト人とシリア人。ホテルのメードのおばさんは東欧系。

 みんな客に対しては英語で答えますが、自分たちの仲間内の会話はウルドゥー語であったり、アラビア語だったり、スラブ系の言葉で話しています。彼らはみなNYに暮らしているけど、たぶんアメリカの市民権はまだ取っていない。共通語の英語を流ちょうに話すことができないから、口から出る言葉が「4ドル75」、「それも買う?」「何が欲しい?」「それでいいのか?」といった必要最小限のつっけんどんな物言いになってしまうのです。

 NYは昔から「人種のるつぼ」だと言われてきました。イタリア系、アイルランド系、ユダヤ系、ギリシャ系、プエルトリカンやドミニカンのヒスパニック系、70年代から増えてきた韓国系といった従来のNY市民の人種構造はよく知られていますが、それがもっともっと多様化してきたなというのが2004年のNYです。街を歩いていて聞こえてくる言葉の感じから判断すると、東欧系の新移民、アジア諸国からの新移民、スワヒリ語を話すアフリカ系新移民、中南米からの新移民が確実に増えています。そこにアメリカ国内はもとより世界中から(ぼくもそのひとりだけど)「お上りさん」がやって来る街が現在のNYです。

 7日のヤンキース戦のデーゲームの観客数が5万338人、6日と8日のナイトゲームがどちらも4万2000人前後。超満員になったメッツとの「サブウェイ・シリーズ」明けのカードでさえ、これだけの観客がヤンキース戦には集まります。ヤンキースは、今シーズン6月末までのチケット・セールスで、大リーグの観客動員記録を塗り替えたと発表しましたが、「平日のデーゲームに、いったいこれだけのお客さん、どこから湧いて来るの?」というのが、ぼくの興味でもありました。

 東京ドームに修学旅行の団体客が入ってくるのと同じように、外野の2階席、3階席には、同じ色のTシャツを着たアメリカの地方都市からやってきた数十人ずつの高校生のグループがいろんなところに陣取っています。NYに来たら、ブロードウェーでショーを見るか、ヤンキース戦を見る。ヤンキース戦は観光イベント、観光産業なんです。

 ヤンキースのスタインブレーナー・オーナーが、いまごろになって「サブウェイ・シリーズで活躍したリトル・マツイをどうして取らなかったんだ」と、球団幹部を叱責したという話がこちらの記者席でもちょっとだけ話題になりました。入場料以外にグッズを大量に買ってくれる日本人観客はヤンキースにとっても、いちばんの大得意客になりつつあるということだと思います。

 でも、「お上りさん」はスタジアムの3分の1でしょう。残りはNY在住のファン。彼らにとっては、ヤンキースを応援するときに、自分もNYの一員であるという実感を持つことができるということが大きいでしょう。だって、野球を見て騒いで応援するのには言葉は必要ではないもの。「レッツ・ゴー・ヤンキース!」と叫べばいいし、スタジアム・ビジョンに「メイク・ノイズ」と出れば、ブーイングか拍手をすればいい。自分も「ヤンキー」の一員なんだという共通体験を数週間に1回持つことが、会話のヘタな(孤独なNY市民)には必要な時間なのです。

 さて、日本の現在のプロ野球の再編問題、ポルトガルにいたときも、アメリカに来てからもメールやインターネットでおおまかな事情は知っています。
 日本球界が危機的な状況のときに、「MLB楽しいですよ」じゃないだろうというお叱りのメールを送ってきた方もいらっしゃるので、この問題について触れておきます。

 ぼくがいまMLBの取材に来ているのかということとも関係があります。
 昨年の秋、MLBの日本でのテレビ放映権交渉が電通との間でまとまったと、「ウォール・ストリート・ジャーナル」がすっぱ抜いたときに、「ああ、これで日本の数球団がやっていけなくなるな」と感じました。

 2004~2009年までの6年間で総額2億7500万ドルという契約でした。2004年が3500万ドル、2005年が4500万ドル、2006年が5500万ドル、2007年は6000万ドル……、という具合に、年ごとに段階的に契約金額が上昇するという契約内容だったと聞いています(金額はMLBも日本側も明らかにしてくれないので石川の推定)。
 99年から2003年までの前回の5年間の契約料が7500万ドルでしたから、年平均で単純比較すると、年1500万ドルから年4600万ドルへと約3倍の放映権料になったわけです。これを年が明けてから、NHK・BSと、地上波のTBS系とフジ系の3社連合で放送するということになりました。

 日本で放送するカード数は日本人選手が在籍しているチームと終盤の話題のカードに限られてきますから、多くて100試合前後。そうすると、1試合当たり放映権料だけで約5000万円ということになります(制作費とか回線使用料とかが入ると、1試合1億円近くになるのかな?)。これを時差の関係で、一般の野球ファンがテレビを見ることのできない明け方とか朝に日本で放送するわけです。

 日本のプロ野球放送でも、巨人戦、阪神戦といった人気カードは、1試合の放映権料が1億円を超えるものもありますが、不人気球団のカードにそんな放映権料を設定したところで、スポンサーが集まりません。スポンサーがつかないから、パ・リーグの試合は民放で全国放送されてこなかったのです。そこにMLBの放送と競争しなければならなくなった。

 MLBの放送であれば、スポンサーになってもいいという広告主もあるでしょう。しかし、人気のない球団のカードにお金を払う企業がどれだけあるでしょうか。近鉄やオリックスのゲームはたまに中継してくれるNHKか、地元のケーブルテレビ局の中継でしか見ることができなくなる。不人気球団はファンを失ったうえに、最大の収入源でもあるテレビ放映権料収入を奪われ、いくつかの球団が存続できなくなる。球界再編(たぶん1リーグ10球団体制への移行)問題は現実問題にならざるをえないだろう。実は、こういう事態は昨年11月末時点で予想できたことでした。
 だから、いま日本で大騒ぎになっているらしい近鉄とオリックスの合併問題、ぼくには不思議でもなんでもないのです。

 3月末の「ヤンキース-デビルレイズ」のMLB公式戦が日本で開催されたときに、MLB側が現在の日本のプロ野球の問題点にどの程度の認識を持っているのか、聞かせてもらおうと思い、MLBにセリグ・コミッショナーへのインタビューを申請しました。
 「MLBの日本マーケットへの進出拡大は、日本球界の再編を加速させることになるだろう。その結果、自分の球団を失うことになる野球ファンが何十万人から100万人単位で生じることになる。そのファンをMLBが取り込むのか、それともそのファンたちは野球を離れてしまうことになるのか、悲観的にならざるをえない。近い将来、日本では1リーグ10球団体制への球界再編が行われることになると予想されるが、MLBの経営改革を実践してきたセリグ・コミッショナーに、日本球界への提言をしてもらえないか」
 という内容の質問状と日本球界の現状レポートを送って、MLBサイドと交渉していたのが2月から3月にかけて。

 いくつかのスポーツ誌にページを取ってもらうために、記者や編集者とも話をしましたが、その時点では、「シーズン・インを控えて、パ・リーグががんばろうとしているときに、そういうページは作れない」とか、「本当にそんなに早く球界再編が起きますかね?」という反応がほとんどだったのです。

 結局、セリグ・コミッショナーとの単独インタビューは、時間の都合が取れなかったこと、それからぼくがセリグ氏から聞きたかった質問事項が、MLBサイドが日本球界について語るのは僭越すぎるということで流れてしまいました。
 しかし、1か月近い交渉で、MLB側に日本球界の現状分析を伝える機会を持つことはできました。また、ぼくの分析レポートが「ベースボールのインターナショナルな人気を維持すること、野球ファンが低減することは避けたい」というMLBの基本理念とも合致するものだったので、「イシカワ、一度、MLBをじっくり見にきなよ」ということになりました。

 日本球界の再編問題については、プロ野球機構として、すべてのチームが共存できるための経営環境作りにメスを入れる以外、将来展望はないと思っています。結論をいえば、テレビ放映権料収入やロイヤリティ収入のプロ野球機構全体での一元管理につきると思っています。
 「1球団か2球団だけが生き残ればいいんだと思っているのなら、その球団だけで新リーグを作ってみればいい。もし、そんなものがプロ野球だと言い張るのならですが。ファンを大事にする新機構にもし変わるのであれば、半年や1年、プロ野球のないシーズンになっても仕方ないくらい、ファンも腹をくくってみませんか」

(7月10日 朝8時半 シカゴ。5年ぶりにイチローのプレーを見て上機嫌の朝) 石川とら

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