「オーストリア 1-4 クロアチア」戦5月23日 20:30 ウィーン・エルンスト・ハッペル・スタディアム
【得点】クロアチア:クラスニッチ(11分、35分)、バビッチ(55分)、バラバン(70分)
オーストリア:イバンシッツ(14分)
【オーストリア先発】「4-5-1」GK 1 パイヤー
DF 2 スタンドフェスト、3 ストランズル、4 シャーナー、5 イベルスベルガー
MF 6 アウフハウザー→フェルドホッファー(66分)、7 レイトゲブ→16 メルツ(73分)、8 プラガー、10 イヴァンシュルツ、11 レクサ→13 フッシ(83分)
FW 9 ヤンコ→17 リンツ(64分)
【クロアチア先発】「3-4-1-2」GK 1 プレティコサ→12 ディデュリカ(46分)
DF 7 シミッチ、4 R・コバチ→トキッチ(61分)、13 トマス
MF 2 スルナ→16 J・レコ(70分)、5 トゥドル、8 バビッチ、10 N・コバチ→14 モドリッチ(57分)、19 N・クラニチャル
FW 9 プルショ→バラバン(57分)、17 クラスニッチ→18 オリッチ(46分)
クロアチア、攻撃のポテンシャルは確かに高い。
前半11分。左サイドのバビッチからサイドライン沿いにプルショに縦スルー。
プルショ、再三、左サイドに流れてポストプレーをしていたが、このときは、ゴールに背を向けて相手バックスを背中に抱える感じでトラップと同時に右にターンして、ディフェンダーを転がしてライン沿いをドリブル突破。ペナルティエリアにカットインして、ゴール前でフリー状態のクラスニッチに横パス。クラスニッチがなんなく決めて先制。
プルショ、スピードでぶっちぎるタイプのFWじゃないけど、競り合ったときの上半身の使い方がうまい。マークに来た相手ディフェンダーの足が届かないところでトラップして、体を振ってつぶしていく。
それと、バビッチの位置がものすごく高いので(右のスルナも同じ)、バビッチからの縦スルーなんかもソフトなパスでプルショに届くんだよね。
オーストリアがサイド攻撃できないチームだから、バビッチもスルナも、ハーフラインのあたりに常に上がりっぱなし。バビッチの本来の位置にたとえば右サイドのバックのシミッチがいるわけ。
両ボランチのコバチ兄とトゥドルでサイドの切り替えをして、コバチ兄→シミッチ→縦パス→スルナ→クロス→2トップ――という具合に、コンパクトなラインになっているから、一気にシュートまでいってしまう。
日本戦では、バビッチ・加地、スルナ・三都主とマッチアップということになる。
バビッチとスルナの位置を下げさせることが、ゲーム支配(ボール・キープ)と危険回避のためには絶対必要。
前半14分。オーストリアの右CK。キッカーはイバンシツ。ファー側に上がったキックをGKプレティコザが判断ミス。パンチアウトしておけばいいのをキャッチして、着地したらゴールラインを割っていたというアマチュアのようなプレー。「1-1」の同点。
クロアチア、正GKのブティナ(ブリュージュ→オリンピアコス)は、オリンピアコスとの契約で、故障が癒えるまで、プレマッチで使わないという条項があるのだそうで、本番まで使えないというのが、クロアチアの不安要素かな。
前半35分。プルショからペナルティエリアでクラスニッチにこぼれ球気味のパス。クラスニッチ、デイフェンダーとGKを振り切り、2点目。プルショの競り合いの強さというのはそういうこと。
クラスニッチ、いま本当に調子いい。チーム内の2トップの序列では、プルショ、オリッチ、クラスニッチ、バルバンという順序なのだけど、プルショの相手をオリッチにするか、クラスニッチでいくのか、クラニチャル監督、迷うはず。
後半開始で入ったオリッチが、日本には怖いかなあ。強くて速いドリブルで突進してくるタイプのFW。ニコ・クラニチャルとワンツーのパスのふりをして、そのままドリブルで突進。あわやというのが3回。2回はコーナーキックになった。
エクアドル戦やブルガリア戦の後半で日本が見せた、ボランチのど真ん中をドリブルで突破されたときに早めに倒せないというような軽いディフェンスをしてしまうと、あっという間にペナルティエリアに入られてしまってシュートを打たれるか、横パスということもある。調子はクラスニッチだけど、危険さではオリッチかな。
ついでにニコ・クラニチャルは、オーストリア戦では、トップ下でダミーの動きを見せてスペースを作ったのは認めるけど、シュートも前後半通じて1本かな。左CK担当だけど、それ意外はゲームメークにも関わらず。
このチームをピッチ上で実質、リードしているのはコバチ兄だね。
やはりうまい。コバチ兄に前のほうからもからんでいかないといけない。自由にボールを持たせないようにしないと、トップ2人が飛び込むタイミングを見計らって、サッとスルーを出してきたり、マークが来ないと思ったら、自分でドリブルでバイタルエリアを突進して、最終ラインのギャップを斜めスルーで衝いてくる。
後半55分の左MFバビッチのゴールは、左サイドからドリブルでそのままカットイン。三都主がたまに見せる動きと同じだが、左50度くらいのところから20メートルあまりの強烈なミドル・シュートだった。前半にも同じようなシュートがサイドネットに飛んだけど、シュート力に本人も自信あるんだろうね。コースが空いていたら打ってくる。
ミドルを打たれると、ラインを上げざるをえない。そうすると、最終ラインの後ろのスペースにスルーか、浮き球のロングパス。そこに2トップが走り込むという形も取る。
とにかくオーストリアのボールキープ率が低すぎたし、オーストリアの攻撃が単調だったから、ちょっと参考にならないなあ。
オーストリアはEURO2008年用にチームを若返らせて強化にとりかかったばかりで、W杯予選を勝ち上がってきたチームとは成熟度が違うからね。
クロアチアの4点目は後半70分のバラバンのゴール正面30メートル弱の直接FK。バラバンは4人目のFWなので、日本戦には登場する可能性はほとんどないと思う。
監督の長男がゲームメークのキーマンだと、ニコ・クラニチャルに気をとられ過ぎていた気がするなあ。
少なくとも、今日の試合では、ニコにパスが渡ると、そこでボールが止まってしまって、前の二人に最終パスが行かなかった。ニコがダミーで反対に走ると、スペースができてスルーがスパッと決まったので。実は、ああいう動きの約束事を決めているのかもしれないなとうがって見たりしている。
次のイラン戦では、クロアチアも攻めっぱなしというわけにはいかないだろうから、攻撃の組み立ても違ってくるだろう。
クロアチアのプレスと話をすると、みんな第2戦が勝負と考えている。
そのとおりだと思う。
クロアチアはあと2試合、見てみるから、新しい発見があったら、またレポートします。
今日は、30年ぶりのウィーンで1日待機。明日、ケルンに移動して、ジーコ・ジャパンのドイツ入りを待ち受ける予定。
そのあと、またザグレブに戻って、「クロアチア-イラン」戦。
体調は良好。ただし、クロアチアで思ったよりも予算を使ったので、ウィーンの宿を落としたら、ネットも電話もつながらないホテルになった。
オールナイトのカフェで原稿書きとレポート送稿。
ウィーンの夜は更けてを通り越して、夜明けも近い。
2006/05/24 ウィーン 石川とら。
■「オーストリア-クロアチア」戦レポート→スポニチ・ワールドサッカープラス→http://www.sponichi.co.jp/wsplus/column_wc/06633.html
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いいところなんですね。ドゥブロブニクには是非行ってみたい。もちろんオーストリア戦もすかさず上げてくださって、ありがとう。
やっぱり強そう・・。相手は79位とはいえ。