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星野ジャパン見事3連勝 北京五輪出場決定

野球北京五輪アジア予選ルポ
「韓国戦の直前には監督なんか引き受けるんじゃなかった、逃げ出したい気分だった」
と、星野監督が漏らしたとおり、第2戦韓国戦、第3戦台湾戦は、息づまる戦いになった。
3日間で3試合。1試合でも落とせば、「北京行き」は来年3月の最終予選まで持越しになる。
昨年の第1回WBCで日本は韓国と3戦して「1勝2敗」だったように、日本、韓国、台湾の実力差は大きくない。僅差の勝負になれば、韓国戦も台湾戦も、どちらに転んでもおかしくないゲームだった。
 韓国戦、台湾戦を中心に、記者席から見た「星野ジャパン」の勝負強さの秘密を解説する。

◆二手先、三手先を読み切った星野采配
 第2戦韓国戦の二回表、一回裏に韓国に先制本塁打を打たれた直後である。二アウト三塁。三塁には二塁打の新井。
 打者稲葉のときに、ネクスト・バッターズ・サークルにいたサブローのところに、西岡が伝令に走った。
「低めを棄てて、高めに的を絞っていけ」との監督からの伝言だった。稲葉が四球で歩いて一・三塁に。サブローは、指示通り、カウント「1-2」から高めに入ってきた変化球を叩いてレフト前へ同点タイムリー。続く森野のセカンドゴロが敵失を誘って、稲葉も還って、日本が逆転する――。
 稲葉が出塁してからのアドバイスではない。そのまえに的確な指示が伝えられていた。サブローは韓国の先発田炳浩が稲葉に対して投げていた球筋をじっくり見たうえで、打席に入っていたのである。

 もうひとつのケース。第三戦台湾戦の七回表。ここもやはり六回裏に台湾の4番・陳金鋒に逆転2ランを打たれた直後だ。
 星野監督は、この回がはじまるまえ、それまで一塁ベースコーチに出ていたキャプテンの宮本を呼び、「代走で行くからな」と指示している。村田が死球、稲葉がライト前ヒットで無死一・二塁のところで、セカンドランナーの村田に代えてピンチランナー宮本。
 無死一塁での代走ではない。無死一・二塁とチャンスを広げてからの代走起用である。「必ず逆転できると選手を信じていたから」と、ゲーム後の会見で星野監督は語っているが、このあたりの采配、絶妙だ。
 次打者里崎は定石どおり送りバント。宮本の激しいスライディングが生きて、フィルダースチョイスとなって無死満塁。
 台湾が投手交代の間に星野監督はネクスト・バッターズ・サークルの西岡に一言、声をかけたのが見えた。さてなにを言いにいったのか。西岡は「今日はなにも言われていません」とのことだったが……。

◆単打と機動力がうまく機能
 ノーアウト満塁というのは絶対的な得点チャンスであるが、凡打でダブルプレー、得点できずというケースもよくあるのが野球だ。
「まずここは同点だぞと。そこから先はよう憶えておらんのだ。サブローのカウントが『1-2』になったところで閃いた。気がついたらスクイズのサインを出しておった」
 と、星野監督。
 終盤に来ての同点、逆転のチャンス。星野監督はサブローと次打者西岡の顔つきを見に行ったのではなかったか。どうすれば確実に点が取れるか。
 監督の究極の決断は、サブローにスクイズのサインとなった。千葉ロッテでは四番を打つサブロー、この2、3シーズン、スクイズの経験はまずないはずだが、プレッシャーがかかるところで、ベテランが見事に決めた。三塁ランナーの宮本も最高のスタート。台湾の守備陣、スクイズを決められた直後に座り込んでしまった。
「あのあとは、右バッターは右狙いで、左バッターは左へとつなぎにつないで、自分たちが習ってきた日本の野球をやってくれた。信じていたとおり、選手たちが打ってくれた」(星野監督)
 巨人の小笠原、高橋、中日の福留など、全日本のクリーンアップ候補が次々に故障治療で選考を辞退したため、WBCのときの「王ジャパン」以上に「スモール・ベースボール」と心配されていた「星野ジャパン」の打線だったが、3試合で40安打24得点。単打と機動力の積み重ねで勝ち取った北京へのチケットである。

◆3本柱に使えるメド
 1日目の「韓国-台湾」戦後、韓国の金卿文監督に話を聞くと、
「日本戦では投手総動員で臨む。試合の展開によっては、朴賛浩の連投もありうる」  
 と答えていた。
 抑えの切り札と期待されていた呉昇垣の故障離脱で投手力に不安のある韓国は、僅差のリードを5人、あるいは6人の投手の継投でかわす戦略だった。
 先発ラインナップの書き換えなどという、フェアプレーの精神から逸脱した「奇策」まで使って必勝を狙った韓国チームだったが、日本は先制点こそ許したものの、直後のイニングに逆転している。台湾戦でも、台湾に逆転された直後に打者12人の猛攻で再逆転して試合を決めている。

 北京五輪でも、決勝トーナメントに入ると、1試合1試合、もう負けることが許されない試合が続く。
 そのような連戦を勝ち抜いていくためには、相手に試合の主導権を渡さない、もしリードされてもすぐ取り返すゲーム展開が必要になる。
 ダルビッシュ、成瀬らの若手先発陣が相手を最少失点に抑えている間にリードを奪い、岩瀬、藤川、上原などの強力リリーフ陣につなぐというのが「星野ジャパン」の北京での必勝パターンになるはずだ。

 実質コーチ兼任で、若いチームをまとめ上げてきた宮本キャプテンも、「勝てるチーム、いいチームに仕上がりました」と胸を張る。
 敵地での苦しい三連戦を経て、「星野ジャパン」はチーム一丸になって、闘志を前面に出して闘う勝てる集団に成長した。
「4番不在」と心配された打線のなかで、4番に起用された新井は、ここぞという場面で長打を放ち、全日本の「新4番」の使命を果たした。
 シドニー大会以来の五輪出場となる阿部は3試合で13打数10安打を放ち、捕手として、貴重な指名打者としてチームを引っ張り、今大会のMVPを獲得。
 投手陣でも、星野監督が「今後の日本野球を支える新しい力に、この大舞台で活躍してもらいたい」と語った涌井、成瀬、ダルビッシュの3投手が先発として本大会で使えるメドが立った。

 北京行きを決めた台中での祝勝会で、宮本キャプテンは、「必ず北京で金を取ろう!」と締めくくった。
 北京五輪は来年の8月。今回、台湾で戦った24人の選手以外に、また新しい候補選手も加わって「星野ジャパン」はますます強化されるはずだ。

石川保昌(12月5日執筆「読売ウィークリー」2007年12月23日号)


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