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7月9日 決勝「イタリア-フランス」戦(スカパーブログ)

イタリア、PK戦で4度目の優勝。でも問題多いね。

延長後半110分のジダンの自爆ともいうべきレッドカード退場。
自らのファイナ・ゲームでもあったゲームを、ジダンはなぜぶち壊してしまったのか。

ジダンもまたその相手だったマテラッツィも、試合終了後にいっさい語っていないので(翌日になって、マテラッツィは、自分はなにも言っていないとローマで語ったという談話が通信社から配信されているが)、なにもわからない。
ゲーム後、FIFAの広報担当に、2人のコメントを出すように話したのだが、ジダンもマテラッツィも、コメントを出すのを拒否したとの答えで、彼らもなにがあったのかわからないのだと首を振るばかり。

いずれ、ジダンはフランスのカナル・プリュか、フランスのメディアを通じて、謝罪と真相を告白することになるだろう。それまで真実はわからない。

ジダンの暴力行為(頭突き)は、一発レッドカードになって仕方のない非スポーツマン的行為であり、弁解の余地がない。しかし、なにがジダンをそこまでキレさせたのか、つまりマテラッツィがなにをジダンに言ったのかは、究明されなければならないだろう。

今大会、FIFAは、サッカー世界での人種差別廃絶キャンペーンを行い、悪質なファウルに対しての厳罰主義を公言してきた。それが、最後の最後、ファイナル戦で、裏切られてしまったわけだから、後味のいいゲームのはずがないではないか。

たしかに、サッカーはときとして、そのような神経戦、感情が支配するゲームに転んでしまうことが起きるスポーツではある。
残念なことに、ぼくは今大会、そのような試合をずいぶん見せられた。4枚のレッドカードが乱れ飛んだ「ポルトガル-オランダ」戦、「イタリア-オーストラリア」戦、「イタリア-アメリカ」戦、そしてファイナルの「イタリア-フランス」戦。
はなはだウンザリ。もうゲンナリしている。

ワールドカップのファイナルは、あいかわらず華々しい演出がほどこされたスーパーイベントではあった。しかし、この後味の悪さ。
2006年大会は、サッカーの魅力を後退させた大会だったと思っている。

「神経戦サッカー」は、相手よりも1点でも多くゴールを挙げて勝つというサッカーのいちばんのわかりやすさ、魅力を否定する。
相手に勝つサッカーではなく、負けぬサッカー。守備的サッカーであるどころか、感情、言葉、演技力、すべてを動員して、相手に負けないサッカー。リアリストのサッカー、大人のサッカー、狡猾なサッカーである。

そういうサッカーが面白いサッカーであるか?
そういうのも面白いじゃないですかなどと通ぶる人の顔がみたい。
そんなサッカーがすべてのファンにとって面白いサッカーであるはずがないのだ。

6年前、EURO2000のファイナルで、イタリアは超守備的なサッカーで1点を守りに入って、攻撃的なサッカーのフランスに敗れて、ヨーロッパのサッカー界から総スカンを食った。
今大会、リッピは、彼が持つすべての経験、彼のチームの選手たちの経験、意志、技術、演技力、すべてのものを大動員して、4度目のワールドカップ制覇を成し遂げた。

ユベントス疑惑訴訟をはじめ、イタリア・サッカー界が現在、抱えている苦境を考えれば、イタリアチームは、なんとしても優勝しなければならなかった。リッピ本人も、自分の長男が疑惑訴訟の被告のひとりであり、将来、サッカー界で生き残るためには、ワールドカップ優勝という勲章が必要だった。

だから、イタリアが優勝したことになんの不思議もない。
PK戦決着になるとは思っていなかったけども、たぶんイタリアが勝つだろうとは思っていた。

ファイナルに勝って、生き残ることへの欲望が、イタリアチームのほうが絶対的に大きかったのだ。
少なくとも、イタリアチームの選手たちはジダンのようにキレたりはしなかった。

マケレレやバルテズ、テュラムなど、フランスの選手たちの落胆は、それぞれの選手1個人の落胆であった。
5人目のグロッソのPKが決まった瞬間、ピッチ上を跳ね跳んだイタリアチームの喜びを見たまえ。選手たちと一緒に踊るリッピや、優勝するまで髪を切らないと言っていたカモラネージの断髪式をピッチ上でやってしまったイタリアチームの喜びを。
彼らはワールドカップを手にすることが唯一、現在のイタリア・サッカーを救うことになることを、また自分たちがカップを手にすれば生き残ることを知っていた。神経戦になろうと、なるまいと、彼らは負けるわけにはいかなかった。そして、生き残った。
「We are the Champion」ではなく、「We are surviving」こそが、イタリアチームにふさわしい曲であったのだが、どちらもスタジアムには流れなかった。

裏返して見れば、この試合は、もともと、そのような神経戦になってしかるべきカードだった。両チームとも、決して圧倒的な攻撃力を誇るチームではない。基本的には最小得点を優秀なディフェンス陣で守りきるタイプのチームである。

実際、この試合でも、前半最初の得点はジダンのPK。
果たして、あのファウルがPKだったのかどうか、記者席からはわからない。厳しい判定だなあと思ったが、あれをレフェリーがペナルティと判定したことが、後半の神経戦の伏線になった。しかも、ジダンが蹴ったPKはゴールバーを叩いて、本当にゴールラインを割ったのかどうかも微妙なフランスの先制点だった。

イタリアの同点弾も、流れの中からのゴールではない。コーナーキックからの得点。決めたのはディフェンダーのマテラッツィ。ジダンのレッドカード一発退場がなければ、マテラッツィが「マン・オブ・ザ・マッチ」に選ばれておかしくないゲームだった。

フランスはスペイン戦で3ゴールを挙げたし、イタリアもウクライナ戦では3ゴールを挙げる試合をしているが、ここぞという難敵との試合では、セットプレーかPKでしか得点を挙げることができなかった。

このゲームも同じ。
フランスはテュラム、ギャラスのセンターバックとボランチのマケレレ、ヴィエラ(交代後はディアラ)の強力な守備陣で、イタリアもキャプテンのカンナバーロがリードするディフェンス陣が奮闘して、僅差のゲームになった。

しかし、こういうゲームが、2006年大会の「華のファイナル」にふさわしいゲームだったかどうか。
新しいスターはいない。昔の名前で出ている90年代からのスターが中心。しかも、ファンタスティックなゴールよりも、双方が勝負に負けぬことを優先したサッカー。

負けぬサッカーをするという点では、リアリストであるリッピの采配ほうが、ドメネクよりもシビアだった。

監督批判をとがめられて、決勝トーナメントになってから戦力外にしていたトレセゲを延長最後になって起用したドメネク。
トレセゲがPKを失敗したのは偶然ではない。ボールタッチもほとんどないまま、PKを蹴らねばならなかったトレゼゲは、プレッシャーに敗れる。

リッピは、レッドカードで4試合出場停止だったデ・ロッシを早めに交代に送り出した。デ・ロッシのなんとしてもチームに貢献したいという強い意志を買った交代だったと思う。また、イアキンタの起用も、恒例の交代とはいえ、彼を投入することで、後半、再三、サイド突破からチャンスを作り出していたアビダルを牽制して、守りに入らせた。その結果、フランスはウィルトールを投入したものの、左サイドから崩すことができなくなった。

PK戦に決まってからも、場内全体から強烈なブーイングを浴びるのが予想されていたマテラッツィをあえて臆することなくPK戦に送り出したのもリッピである。PK戦に向かうマテラッツィのお尻を、コーチが「しっかり蹴ってこい」と、叩くのが見えた。

トレセゲは狙いすぎて外し、マテラッツィは着実に決めた。心臓に針金でも生えてるんじゃないかなと思わせるマテラッツィの精神的な強さ。
たぶん、ジダンの一発レッドでも、マテラッツィはピッチで胸を押さえて倒れたまま、ほくそ笑んでいたはずである。

「この大会はだれのためのワールドカップだったんでしょうね?」
と、日本の記者やドイツの記者に聞かれた。

「リアリスト」リッピが負けなかったワールドカップ2006とぼくは答えたけど。
強いてヒーローを挙げろと言われたら、カンナバーロかピルロということになるのだが。
新たなスターも、美しいゴールもない。ファイナルを争ったのは6年前のEURO2000のファイナリスト。中心プレーヤーもほぼ同じ。
この6年間、ナショナル・チーム・レベルでは、世界のサッカーが低迷していたことを暗示するワールドカップ・ファイナルだったようで、残念。

「イタリア 1-1 フランス」(前半 1-1、後半 1-1、延長 1-1)
PK戦: ○イタリア 5-3 フランス×


【得点】
フランス:ジダン(7分・PK)
イタリア:マテラッツィ(19分)

【イタリア先発】 「4-2-3-1」
GK:1 ビュフォン
DF:3 グロッソ、5 カンナバーロ、19 ザンブロッタ、23 マテラッツィ
MF:8 ガッツーゾ、10 トッティ→4 デ・ロッシ(61分)、16 カモラネージ→7 デル・ピエロ(86分)、20 ペロッタ→15 イアキンタ(61分)、21 ピルロ
FW:9 トニ
fainalitalyfrance.png

【フランス先発】 「4-2-3-1」
GK:16 バルテズ
DF:3 アビダル、5 ギャラス、15 テュラム、19 サニョル
MF:4 ヴィエラ→18ディアラ(56分)、6 マケレレ、7 マルダ、10ジダン→退場(Rカード・110分)、22 リベリー→20 トレセゲ(100分)
FW:12 アンリ→11 ウィルトール(69分)

レフェリー:ホレーシオ・エリゾンド

【退場】ジダン(延長後半110分)

【PK戦】(イタリア 5-3 フランス)
イタリア:ピルロ ○、マテラッツィ ○、デ・ロッシ ○、デル・ピエロ ○、グロッソ ○
フランス:ウィルトール ○、トレセゲ ×、アビダル ○、サニョル○


7月10日 ピッツバーグより。石川とら

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