■グループリーグ総括決勝トーナメントに勝ち上がったチームは、ヨーロッパ10、南米3、中米1、アフリカ1、オセアニア1。残念ながら、アジア代表はグループリーグですべて敗退。次回大会でのアジア代表枠が「4・5」から「4」に縮小される可能性もあるだろう。
初出場や久しぶりの出場でグループリーグを突破したのは、スイス、ウクライナ、ガーナ、オーストラリア。テクニックでは南米やヨーロッパの古豪にやや劣るが、フィジカル面で強い、走り負けしないチームだった。
2大会連続出場で、前回よりも成績を落としたのが、日本、韓国、アメリカ、パラグアイ。成績を落としたチームは、アウェー戦を強いられたチームがほとんど。アウェーでも勝てるコンディション作りのノウハウがなかったことも、成績に影響した。
グループリーグでは、レフェリーが試合をコントロールできないゲームがしばしばあったのが残念。今大会からFIFAが悪質なファウルには厳罰主義で臨むことを審判団に要請。その結果、イエローカードが乱発して、双方のチームが感情的になる試合が何試合かあった。
レフェリーによって判定基準にバラつきが生じたのは問題だろう。
【グループA】開催国ドイツ有利の組み合わせと見られていたグループAは、ドイツが初戦から圧勝して波に乗った。エクアドルが大健闘。グループ2位の可能性も予想されていたコスタリカが3連敗と失速。
【グループB】イングランド、スウェーデンの1位、2位通過はほぼ予想通り。初出場で初戦にスウェーデンと引き分けて、勝ち点「1」を上げたトリニダートドバゴが健闘。スウェーデンは、期待されていたイブラヒモビッチの足の故障がたたった。
【グループC】「死のグループ」のひとつ。地力の差で、アルゼンチン1位、オランダが2位に。コートジボワールは、3試合で5得点を挙げたが、3試合とも前半に2失点するゲーム運びのまずさでベスト16入りを逃した。アルゼンチンはセルビア・モンテネグロ戦で「6-0」と爆発力を見せたが、大爆発はその試合だけ。オランダのように守備能力の高いチームとぶつかると、得点できなかったことが、決勝トーナメントに入って、ペケルマン監督に守備的な采配をさせることになる。オランダは若手のチームに切り替えての勝ち点「7」、2戦でグループリーグ突破を決めたのは上出来。
【グループD】
ポルトガルの1位、メキシコの2位は順当。初出場国アンゴラが、メキシコと「0-0」、イランと「1-1」のドローで勝ち点「2」を獲得。イランは後半になって失点するゲームを重ねて、勝ち点「1」止まり。
【グループE】もうひとつの「死のグループ」。イタリアの1位通過は結果的には順当。ただし、アメリカ戦でデ・ロッシが悪質なファウルでレッドカードを受け、4試合の出場停止処分を受けるなど、イタリアにとっても波乱のグループリーグに。初戦イタリア戦を落とした初出場のガーナが、チェコ、アメリカのFIFAランク10位内の2強を倒して、2位で突破。アフリカ勢ではコートジボワールと並んで最強と見られていたが、このグループでベスト16進出は見事。
チェコは初戦アメリカ戦を快勝も、コレルの負傷欠場などで失速。
【グループF】ブラジルの1位突破は予想通り。ヒディンク効果で、予選終了後、もっとも伸びしろが大きかったオーストラリアが最終戦クロアチア戦も「2-2」の引き分けで勝ち点「4」を挙げて、2位に。オーストラリア、クロアチア、日本の団子状態も、監督の手腕の差がそのまま現れ、「ジーコ・ジャパン」は2戦を終えたところで、実質、グループリーグほぼ敗退決定となった。暑さに負けた体力の無さ、コンディション調整の失敗など、課題を思い知らされたワールドカップとなった。
【グループG】1位スイス勝ち点「7」、2位フランス勝ち点「5」、3位韓国勝ち点「4」。最終戦まで上位3か国にベスト16入りのチャンスがあったグループ。EURO2008の開催国として、代表チームの強化に取り組んできたスイスが1位で突破。3試合で失点「0」と、守備に安定感があるのが強み。若い選手が多いので、今後が期待されるチーム。フランスは最終のトーゴ戦では2ゴールを挙げたが、もともと相性の悪いスイス戦は「0-0」のドロー、韓国戦も「1-1」のドローに終わり、最終戦トーゴとのゲームで2位に滑り込む、苦戦のグループリーグに。アジア勢では唯一勝ち点「4」を挙げた韓国だが、グループリーグ敗退。第3戦のスイス戦で勝ち点「3」を挙げるために、攻撃的なフォーメーションを選択せざるをえなかったことが、守備の破綻を招いた。
【グループH】スペインが予想通りの1位通過。チュニジアとサウジアラビアがドローで共倒れ。勝ち点を伸ばせず、初出場のウクライナが2勝で2位に。アジア勢のサウジアラビア、このグループでも、勝ち点「1」の4位に終わる。
7月12日 ピッツバーグより。
携帯imidas 2006W杯レポート 29 石川保昌
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