石橋を叩きすぎたトーレ監督のチーム編成正直言って、今大会はアメリカが決勝ラウンドに勝ち進んでくるものと考えていた。
トーレ監督のメンバー人選も、超スーパースターを寄せ集めた派手なチーム構成ではなく、手堅く守って勝ち進んでいこうという考え方を基本にしていたと思う。投手力重視で左右の先発を2人ずつ、タイプも異なる左右のリリーフ陣11人をそろえた15人の編成。打線はゾブリストとブルームクイストという内外野を守ることもできるユーティリティプレーヤー2人を入れた13人。
アメリカチームが大会から消えてしまったことで、山本監督の左右ジグザグ打線構想がどのチームを念頭に意図されていたかを聞く必要もなくなったが、ワンポイントで右、左、右、あるいは左、右、左などというという投手起用をできるチームはアメリカチームしかなかった。アメリカの左リリーフ陣を念頭においていたから、たとえば長野の存在が決勝ラウンドで不可欠なんだと言い続けてきたはずである。
日本チームは投手陣14人、野手14人の編成だ。アメリカは投手を15人にしたため、野手は13人しかいなかった。そのうえ、日本チームで守備固めや代走役を担う本多のような選手を2人入れたから、攻撃的な先発要員となると、もともと11人しかいないという人数的にも投手力偏重のチームだった。
しかも、1次リーグ開幕直前にクリーンアップのひとり、一塁手ティシェラが負傷により離脱。追加招集されたホスマーにティシェラと同じ打撃を望むのは実績や経験からいって無理。3月12日の2次リーグ第1戦でプエルトリコに勝ったものの、今度は、5番三塁手のライトが背筋痛で以後の試合を欠場することになる。それまでの4試合24得点のうち10点をたたき出していたライトの欠場で、アメリカチームは、「メジャー屈指の強打者をそろえたチーム」ではなかった。
4日か5日間で3試合ずつ、2次ラウンド3試合を戦うと、6試合。投手陣は先発、リリーフも含めて各試合で3~5人を使うとすると少なくとも13人は必要。チームによってキャッチャーを2人にしたり、3人にしたりしてそれ以外の野手と調整する。
野手も日本の内野陣のように、たとえば井端は、本職はショートだが、捕手以外、内野のポジションはすべてこなす。鳥谷、松井も、二塁、三塁、ショートを守ることができる。アメリカのようにユーティリティプレーヤーに交代したからといって攻撃力が落ちるということはないようなチーム編成をした。数少ない野手陣で大会決勝まで8試合、強化試合まで入れると、10数試合を戦うので、だれかを欠いても、チーム力が大幅減にならないように工夫している。
アメリカチームの場合、急な故障を起こした選手が2人とも打線の中心選手だったから、同じレベルの選手を追加招集できなかった。また、トーレ監督のチーム編成の基本方針が守り重視過ぎたため、言ってみれば、石橋を叩き過ぎて渡る前に橋が落ちてしまったとでもいうようなチームになっていたのかもしれない。しかし、トーレ監督自身も、またほかのチームの監督たちも、ティシェラが欠け、ライトが欠けるまで、アメリカチームのもろさに誰も気がつかなかった。
「攻守のバランスがとれた好チーム」という表現があるが、たった20日間、10試合ほどの試合を勝ち抜くチームを編成するというのは、本当にその匙加減が微妙である。
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