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3月17日「日本-プエルトリコ」戦2

山本ジャパン、敗戦の理由
ゲーム後の記者会見は負けたチームから行われる。山本監督にまず聞いた。
――敗因をどうお考えになるか? それと、確認したいことがふたつある。ひとつは、7回表に能見投手がノーアウトでヒットを打たれた場面で、能見投手を替えるという考えはなかったか? もうひとつは、8回裏の盗塁死は?
「敗因は、相手ピッチャーが本当にキレのいいピッチングをしてきたので、打ち崩してチャンスをつかむということができなかった。能見の件は、あそこで替えたらよかったのではというのは結果論であって、能見はいいピッチングをしていたので、替える考えはなかった。8回裏に盗塁しようとしたのは、行ってもいいという重盗のサインを出したが、井端のスタートが少し遅れたので、ああいうことになった。しかし、選手たちは全員が本当によく戦ってくれた。こういう国際試合での経験が野球人として将来の人生にもプラスになるのじゃないかと思う」
負けたチームがスタジアムにいる時間は限られる。勝敗の分岐点に関わる問題を、まず監督に確認する。敗因はスパッと聞かねばならない。そのあとで、選手やコーチが、監督が選択した戦術にどう対応したのかを聞く。

プエルトリコの勝ち投手マリオ・サンティアゴとエドゥイン・ロドリゲス監督にも聞いてみた。
――マリオ、日本の打者たちを相手に、どういうピッチングをしようと考えていたのか?
「本当に今日のピッチングは難しかった。今日はキャッチャーについていこうと思った。ヤディエル(モリーナ)の言うとおりに投げたんだ。日本の野球と日本のバッターについては、ぼく自身少し知っていた。去年、韓国のSKでプレーしていたときに、福岡でキャンプをしたからね。そのときに日本のバッターと対戦したので、日本のバッターがどういう球を好み、どういうピッチングを嫌がるかは知っていた。今日のいちばんの鍵は本当にヤディエル・モリーナの指示通りに投げることだった。彼は大リーグ一のキャッチャーだからね。具体的には、ヤディエルが指示するピッチング・リズムで投げたことだ。とても早いテンポで投げた。それをぼくたちは最後まで守ったということだ」

――ロドリゲス監督、試合前の会見で、監督は日本の野球には特徴があるとおっしゃったが、今日はどう攻めろと、また日本の投手をどう攻略しろとアドバイスしたのか? 
「まず、日本の打者に対してどう投げるかというのは、それは秘密でもなんでもないので言うが、メジャーリーグの投球についての基本戦略は、真っ直ぐを投げること、そしてそれをより効果的に投げろということだ。日本の打者に弱点はそれほどなかったと思うが、マリオとヤディエルがやったように、打者のインコースを直球でつくように指示した。
日本の投手については、3-1のスコアのとおり、非常にいい投手戦だった。100球を超える投球で、日本の投手が犯した失敗は、アレックス・リオスに対しての1球だけだった。そのたった1球の失投をメジャーリーガ-はのがさない。そういうゲームだったと思う」
ロドリゲス監督は、試合前の会見で、日本チームは2度優勝しているとおり、完成されたチームなので、そういうチームとの対戦では、ミスをしないことが重要と語っていた。
ロドリゲス監督は元フロリダ・マーリンズの監督である。記者会見でも、「プエルトリコの野球では…」ではなく、「われわれメジャーリーグでは…」という言い方をした。今回のプエルトリコチームは、投手陣は横浜DeNAのジオやヤクルトのロマンなどのように、元メジャー組かトリプルA、ダブルAクラスがほとんどだったが、打線はほぼ現役メジャープレーヤーのチームだった。ロドリゲス監督の言葉には、メジャーリーグのチームがそう度々、そうでない日本に負けるわけにはいかないという気分がただよっていた。

プエルトリコの第一の勝因は、ヤデイェル・モリーナの好リードにあったと思う。マリオ・サンティアゴが答えたとおり、まるでキャッチボールの練習のように、モリーナは投手に返球し、投手は打者にかまわずモーションに入った。アドレスで、ちょっと待てとタイムをかけたのは稲葉くらいではなかったか。日本の打者はみんな面食らったはずで、次の配球に備える間もなく三球三振に討ち取られたバッターも多かった印象が強い。

ぼくが山本監督に質問した「能見投手の交代は?」という件は――、交代でなくていいのだけど、もし追加点を奪われたらそれで終わりになりそうなゲーム展開で、なぜ、せめて投手コーチがマウンドに行ってアドバイスをしたり、間をとることをしなかったのだろうか?――という疑問である。追加点を奪われてからあれだけピッチャーをつぎ込むのであれば、もう点を与えられないという後半にノーアウトでランナーを出したときは、もう少し慎重になって当然だったのではないか。投手コーチでなくとも、阿部なり、内野手がマウンドに集まるのでもいい。能見が感じていたであろうプレッシャーをみんなで支えてあげないと。ほかのチームを見てごらん。キャッチャーもコーチもみんな腰が軽いよ。そのあたりに山本監督と東尾コーチのあいだに「あうん」の呼吸があったのかどうか?
ゲーム後、与田コーチにも聞いたら、「この試合ではいつでもいけるようにブルペンは準備してあった。ただ、替えるかどうかというのは監督が最終決断する問題ですから」とのこと。
日本が敗れた試合はこのゲームだけでなく、1次ラウンドのキューバ戦でもそうだった。ピンチを迎えたときにキューバ戦のときは、若い今村をマウンドに放りっぱなしにして、今村をつぶしてしまった。

盗塁死については、どうしてあそこで重盗を?――と思ったファンが多いはずだ。
「行けるなら行け」というサインは、ランナーが1人なら別に問題はない。ただし、相手のキャッチャーがメジャーでも強肩で鳴るモリーナであること、ランナー同士の連携の難しさを考えると、失敗の確率のほうが高かったのではないか。
3連打で1点を奪い、相手投手もプレッシャーでアップアップになっていたときに、中心選手と山本監督があれほど広言していた4番の阿部にどうしてじっくり打たせてやらなかったのか。阿部がまったく不調というのならまだしも、阿部の一打席目のレフトライナーなどはとてもいい当たりだった。
「阿部のチーム」とまで言い切っていたのだから、阿部を信じて打たせればいいじゃないか? 最後の最後で、信じていた選手を信じられなくなって「二匹目のドジョウ」を狙って奇策でつまづいてしまった。

投手陣の顔ぶれを見る限り、ぼく自身、アメリカとやるよりプエルトリコとやるほうが勝機はあるんじゃないかと考えていたので、そんなに甘くなかったことを反省している。
ベネズエラに勝ち、ドミニカといい勝負をし、アメリカにも勝ち、そして日本にも勝った、しかも移動をはさんで5日間に4試合して3勝という強いチームがプエルトリコだったのだ。

【追記】
ゲーム後の監督記者会見を終えて、通路を歩いていたら、クラブハウスから出てきた井端とバッタリ一緒になった。
「お疲れ様」
負けたこと、重盗失敗のこともあったからだろう、井端、涙目で落ち込んでいる。
「あれだけ打ったんだからさあ、胸張れよ」
井端とは今回の大会ではじめて会った。何度か話を聞いているうちに、ぼくが中日ファンであることもわかったのだろう。よく話をしてくれた。日本チームでは、この大会、最大のヒーローは井端だったと思う。彼の話を聞くことで、ぼく自身、取材をしていてとても楽しく過ごすことができた。
テレビカメラと記者たちが待ちかまえて井端を取り囲む。
――敗戦は?
「残念です。とにかく勝ちたかったです。優勝したかったから結果がすべてかな。三連覇したいなあと思って来たから、またもう一回、チャレンジしたい。もっと勝負強くなって再挑戦したいです」
――盗塁のシーンは?
「行けたら行けというサインでしたが、バッターが差し込まれたようだったのでスタートを一度、切ったけどやめました。ひょっとしたらサインが出るぞとは言われてました」
――日本チームが今大会で苦戦した理由は?
「ランナーを置いたときのバッティングがダメだったのかなと思います。カンカン連打が出るわけではないですから、それをうまくランナーを進めたり、つないでいく攻撃ができないと点が取れない」
――今日のプエルトリコの若い投手は?
「ボール自体はよく動いていたけど、打てないというほどの球ではなかったと思う。ただ、追い込んでから使うボールと使わないボールをしっかり使い分けられた。キャッチャーにもうまくリードされたんだと思います」
――右打ちの極意について
「ほとんどがあまり知らないピッチャーなので、球スジを見てからというバッティングでああいう形になったというのもあります。初球から相手の球をしとめられるような選手がもっと出てこないと」
「やれるかぎりのことはできたと思うので、胸を張って帰ります」

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