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2017 WBC「ドミニカ-アメリカ」戦評

またいつか Someday, if possible
「ドミニカ-アメリカ」戦に打ちのめされて

2017年のWBCは、東京での「日本-オランダ」戦と、サンディエゴでの2次ラウンド「ドミニカ-アメリカ」戦の2試合で、多くの野球ファンの記憶に残る大会になるのではないでしょうか。WBCはただの時期外れの国際トーナメントでなく、本当に素晴らしいトーナメントに育ちつつあるのを感じています。

ぼくは野球も観ますけど、野球ならなんでもいいという「野球贔屓」ではないので、わりと冷静に観ているほうだと自分では思っているのですが、それでも、この2試合は、目をみはらざるをえないゲームでした。
その2試合、両方を現場で取材しながら観戦できたことを、とてもうれしく思っています。

試合後、ドミニカのヘッド・守備コーチのジュニオール・ノボアに別れのあいさつをしにクラブハウスまで訪ねました。トニー・ペーニャ監督も一緒に、2人とも憔悴しきった表情で出てきました。
ペーニャ監督からはその前に記者会見で敗戦の弁を聞いていましたが、ユニフォーム姿だとしっかり話していたのが、私服に着替えたら、疲れきったお爺ちゃんがふたりという感じでした。2人も、そしてぼくも60台半ばになってしまったのだから、それは奇妙なことではないのだけれど。
「ああ、今日はなにも言わないよ。兄弟たちのシンパティコさ」
そう言って、ぼくたちは抱き合い、「またいつか、サントドミンゴか東京で」と別れました。

野球ですからというか、勝負事というのは、勝敗は時の運です。大好きなチームが負けてきえていくのは仕方のないことです。
ひょっとしたら、日本とドミニカの対戦ができるかなという機会は、結局、4回ともつぶれました。はたして、いつか。そんな日がくるのだろうか。

試合の流れそのものについて考えると、ドミニカが「2-0」の段階で、2回裏にノーアウト二三塁のチャンスを作り、しかも打順が1番に回ったときだったのに、追加点を取れなかったことが、ドミニカが試合の主導権をつかめなかったいちばんの原因になるでしょう。

「ドミニカ-アメリカ」の戦いは、野球というゲームよりも、重量強の格闘技のような試合でした。一瞬の隙を見せたら、それが致命傷になる。
考えてもごらんなさい。8番に入ったジャンカルロ・スタントンのたった一振りで、140m向こうのレフトの外野バルコニー席でボールが跳ねているのです。

そして、アダム・ジョーンズのスーパー・キャッチ。あんな信じられないプレーが、こんな重量級激突のゲームで起きるというミラクル。
ペトコ・パークはホームランが出にくい球場だといいます。でも、マニー・マチャドは打った瞬間、入ったという手応えがあったのでしょう。走り出しもしなかった。バックネット裏5階のプレスボックスからも、ボールが高く、遠くへ、遠くへと運ばれていくのが見えました。
ゲーム後、アダムは試合後の記者会見で、こう話しました。
「まだ、ぼくはあのボールをとったということが信じられないでいるんだ。ボールが弾かれた瞬間、ああ、この当たりは伸びるぞと思って、後ろへ、後ろへ下がったんだ。このカリフォルニアの空がボールの飛ぶスピードを遅くした。わかるかい。そして、果てがないように飛んでいくんだ。まるで、ぼくと一緒に遊んでいるようにね。ぼくは、ボールを追って、壁にぶつかってもかまわないと思いながら走っていた。そして、下がって、下がって、ボールを追いかけて、試合が終わって、自分がボールをつかんだのをリプレーで見たわけさ」
まるで、キンセラの小説にでも、出てきそうな話だった。

“I’m still in kind of shock that I even got that ball. I mean, off the bat I’m just like this ball’s hit really far, so just keep going, keep going. You know this California sir’s going to slow it down, and just never quit. That’s just the style I play with. I don’t mind running into a wall or two. I just kept going after the ball, and I’ve seen the replay after the game, and I went for the catch.”

事実、プレスボックスからアダムがゆっくりゆっくり下がっていくのが見えた。でも、いくらなんでも、フェンスを越えたと思ったさ。エーッ、観客席の中へ手を突っ込んだのかい? まるでスローモーションのように、アダムが左手を大きく伸ばしたのが見えた。

トニー・ペーニャは、この試合の分岐点を聞かれて、アダム・ジョーンズのあのキャッチにやられたと応えた。
「もちろん、あの後、ロビンソンがHRをすぐ打ち返したし、また、最後にダメ押し点を取られたという最悪の展開もあったが、アダムのあのスーパー・プレーでわれわれは闘志を砕かれたのさ。あんな奇跡のようなプレーが、こういう試合で出るということがすべてだろうね」

アダム・ジョーンズを、とても偶然なことなのだが、彼がデビューしたときからぼくは知っている。
彼のデビュー戦の(彼はマリナーズでメジャー入りした)ブルージェイズとのゲームはロジャーズセンターで観た。また、初HRだったはずだが、ヤンキーススタジアムで彼のHRも観た。2006年か2008年だったと思う。当時は、ものすごい体力をしているけど、どこか垢抜けない新人だった印象が強いが、いまや「チームUSA」の中心選手(キャプテン格の選手である)になった。

たしか、彼はサンディエゴ育ちだったはずで、父親も、お兄さんもサンディエゴの基地に勤めている。だから、サンディエゴでこういうスーパー・プレーをすると、ファンからの声援の声がますます大きくなる。アダム・ジョーンズの元気は、今後もチームを引っ張っていくことになるんだろう。

アダムとジャンカルロ・スタントンに、ロスの準決勝で対戦することが決まった日本の野球のスタイルについて、どんなことを考えているか、聞いてみた。
アダム・ジョーンズ
「ぼくはWBCのテレビ放送でも、日本チームを観ているけど、幸いなことに、ぼくはイチローと城島健司の2人と、何年か、一緒にプレーすることができたので、日本の野球というのは、まず、非常に素晴らしいということを知っています。日本のプレーヤーはとてもきれいな野球(clean baseball)をします。日本の選手はものすごく基礎がしっかりしている。彼らは当たり前のように、ランナーを前に進める(ランナーの後ろに打つ)打撃をします。ヒット・エンド・ランを当たり前のようにこなします。ピッチャーも素晴らしい。しっかり投げてくる。アメリカの野球は、もっとパワフルなので、日本の野球とは少しスタイルが違うと思いますが、それでも、いずれ、アメリカの野球も、その完成度で、日本の選手から学ばないといけないことがいろいろあることを知っています。イチローが守り、返球するときの正確さ(たとえば、彼はコインを投げたところにボールを正確に投げ返すというのをぼくは何度も見ています)、城島のキャッチングやフレーミングの素晴らしさ。そういう日本の選手の完璧な技術に対して、われわれは拍手を送ってきたし、尊敬しています」
ジャンカルロ・スタントン
「日本の選手たちがプレーするのを見るのがものすごく面白い。日本の選手たちは、とってもユニークで歯切れのいい(crisp)プレーをしますね。ピッチングだったら、足を高く蹴り上げて、投げてくる。とってもクールだよね。そういうアメリカにはないスタイルの野球が見られるから、このトーナメントはクールなんだ。いろんな国のいろんなスタイルの野球の伝統とか、それから、みんながどういう具合に、その国の野球のスタイルを作り出したんだろうかと考えることができるから。日本の野球はとても興味があります」

ぼく自身は、決まったものは仕方ないからアメリカとの準決勝を楽しむつもりでいます。
重量級の柔道のようなタイプのアメリカン・スタイルのパワー・ゲームをしなければ(たとえば、プエルトリコが今大会、足をからめた機動力ゲームでアメリカに勝っているように)、方法はあるはずだと考えています。


2017/03/19 サンディエゴで。石川とら
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