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世界女子ソフトボール選手権 3

心理的パニック状態が起きるのがソフトの面白さ。
ラリッサ・フランクリン
中央26番がラリッサ・フランクリン(カナダ)

ソフトボールの面白さというのは、守備も攻撃も野球のようには簡単に予測がつかないことにつきるだろうか。

野球は、アウトカウントやランナーがいるかどうか、投手がどのような配球で勝負していくかなど、攻撃側も守備側も事前に予測して、それに対応して、なにをすべきかを頭に入れてプレーするのだが、ソフトボールは野球系のゲームではあっても、突発的な事態がしばしば起きるスポーツである。予測できなかった当たりに一瞬でも躊躇(ちゅうちょ)すれば、セーフ。観ている方からすれば、どうしてそっちに投げるかねと思うのだが、追い詰められた守備側はしばしばエラーやフィルダースチョイスをおかしてしまう。

野球と大きく異なるのは、塁間の狭さだ。
野球の塁間が27.4mに対して、18.92mしかない。ボールを打ったバッターは2.6秒前後で一塁ベースを駆け抜ける。

今大会でいちばん足が速いなあと思われたカナダの二塁手、ジョイ・ライなどは、たぶん50mを走らせれば6.0秒を切ると思うので、塁間を2.2秒前後で走っていたと思う。彼女などは、球をうまく殺すことができれば、楽々セーフ。

内野手はファンブルしたり、当たり損ねのゴロだと、捕っても一塁はセーフになることが多い。子供時代にソフトボールをやったことのある方ならご承知のとおり、ソフトボールの球は大きいけども、芯を捉えないと、ボールにスピンがかかってキャッチしにくい。

野球でも、フライ凡打がいちばんいけないとよく言うが、ソフトボールもそのとおり。フライだと、守備動作はフライ捕球の1回だけ。ゴロを転ばせば、捕球、一塁への送球、一塁手のキャッチと、守備動作は3回あるので、どこかでミスが出ると、一塁はクロスプレーになる。塁上にランナーがいると、フィルダース・チョイスがしばしば起きたり、野球なら挟殺になるところが、ランナーが残ってしまうというケースが多い。

準々決勝の「日本-カナダ」戦で、山崎早紀が3回裏二死ランナー無しで左中間に強烈なライナーの当たりを打った。カナダのセンター、ラリッサ・フランクリンが最後は懸命に腕を伸ばしてダイビング・キャッチを試みたが、捕りきれず、ボールは彼女の体に当たって、レフト方向に転がった。レフトはフランクリンのバックアップに走っていたので、だれもボールの方向にいない。山崎はそのまま三塁ベースも回ってランニングHRで2点目。野球だとああいうプレーが起きても三塁止まりだろう。一瞬のミスが痛い失点となる。

この回、フランクリンにはもう一つつきがなかった。続く山本優がセンター前ヒット。渥美万奈が続けてセンター前へクリーンヒット。フランクリンは三塁へ走った山本優の封殺を狙ってサードに返球したが、そのボールが山本と交錯して暴投となり、山本が生還して3点目。

「上野由岐子が投げている試合で、ああいうミスをすると、勝ちようがない。1-0 のクロスゲームでいくつもりだったのだけど、まあ、仕方がない」と、試合後、語ったのはカナダのマーク・スミス監督。

マーク・スミス監督は策士である。カナダは「グループB」を3位抜けしてきたのだが、あえて2位抜けを回避したのではないかというのが筆者の読み。2位抜けだと、決勝トーナメント初戦で、「グループA」1位抜けがほぼ確定のアメリカと当たることになる。

グループリーグの後半から様々なオーダーを試してみて、選手たちの調子を見極めながら、決勝トーナメントに入ってからも打順を手直しして、オーストラリア戦、日本戦でベスト・オーダーを組んできた。

カナダは、今大会で東京オリンピックの出場権を獲得することはできなかったが、アメリカ大陸予選で2チームが出場権を得られるので、ライバル国のメキシコとプエルトリコは難敵ではあるが、実力からすれば、カナダは出場権を獲得してくるはずだ。

従来の8チーム出場制から6チーム制に変更されるので、ピッチング・スタッフの強化が進むと、カナダはあなどれないライバルになってくると思う。

ラリッサ・フランクリンについて、ついでに書いておくと、彼女は、決勝トーナメントの初戦、オランダ戦「カナダ 8-1オランダ」で、3ラン、2ラン、試合を決める2打点の二塁打と7打点を上げている。この日、彼女は8番バッター。5回コールドゲームで、1打者が7打点というのは、あまり観たことがなかったので、試合後、ベンチ裏に、このカナダのスラッガーに話を聴きにいった。
「スラッガーだなんて。7打点なんて、自分でも初めてです。高校や大学のチームでもこんなに打ったことはありません。強打よりも、とにかく塁に出ること、勝利のチャンスを作ることに貢献できたので最高です」
と、現在はウエストケンタッキー大でスポーツ心理学を勉強している大学生は、はにかみながら笑顔で応えてくれた。

翌日のプエルトリコ戦から6番に起用されて4打数2安打、オーストラリア戦では1HR、センター前ヒット、三塁強襲ヒットと3打席3安打。
カナダチームの打線活性化の立役者となったフランクリンを徹底マークで抑えきった上野に軍配が上がったのが3位決定戦となった日本戦だった。

2018.8.17

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